世界は中国武漢発症の新型コロナウイルスが蔓延して、人々を苦しめていた。

日本国内も政府の行政の遣り損ないで、日本国中にウイルスが拡がり、必死の医学と行政の無策で、コロナウイルスのPCR検査を制限して、感染者の数を強制的に制限して国民の不安をギリギリで抑えていたが、何時医療崩壊を起こすか行政の長は心配でならなかった。
国の総理は一度だけ緊急事態宣言をして国民全員に10万円の給付金を支給しただけで、直ぐに経済活動を優先して、ゴーツートラベルキャンペーンを施行して、日本の美しい観光地までにウイルスを拡散させるという違法な行政を実行してしまい、総理大臣は野党連合が要求する臨時国会開催を拒否して日本国民を置き去りにして、私腹を肥やすことばかりに夢中になった取り巻きの国会議院や政府高官に任せて、自宅官舎に籠りきりだった。
日本の政治は死に体と化していたのでした。
コロナウイルスの予防と、人間の無策な環境破壊による地球温暖化による夏の異常気象の高温で、国民は自宅に足止めされて、政府に対する抗議活動も出来ない状態であった。
芯(シン)は何時ものように仕事を終えて、最近は誰も「一杯やる?」と誘う仲間もいないので、直行で自宅に愛車のレクサスミニバンLM300hを走らせて帰宅していた。
余りの暑さに、何か冷たい物でも買って帰ろうと思い、自宅の近くの伊都菜彩という地元の物産店に立ち寄った。
直ぐに大きな根付きアジを見つけ、小いわしと一緒に買い物篭に入れ、大葉とキュウリ、茗荷等明日の朝の冷汁用の野菜も求めて購入して、買い物袋を持参していなかった為に5円の大袋を購入して車に戻ろうとした時、ズボンの尻ポケットの携帯が震えた。

「はい、神下(かみさか)です。」

「先生、松浦です。
今、何処ですか?」

「もう家の近くのスーパーだけど、どうした?」

「緊急に先生にお会いして話したいことがあるのですが、今からお邪魔してもいいですか?」

「ああ、いいよ!
じゃあ食事の用意をして待ってるよ。」

「あのー、先生、一人、友がいるのですが一緒にお伺いしていいでしょうか?」

「分かった。
いいよ、それじゃ、暑いから寿司でも買って待ってるよ。
ビールと冷酒でいいね!」

「先生、何時もすみません。
それでは後程。」

小一時間後、芯の雷山中腹の大きな神社の横にある自宅に松浦と一人の美しい若い女性がやってきた。

     福岡県糸島市雷山

鍵を懸けてない入り口のドワを開けて、勝手に入ってきた松浦が、台所にいた芯に彼女を紹介した。

「こんにちわ、何時もの様に勝手に上がらせていただきました。
ああ、紹介します。
彼女は宮司卑弥子(みやじひみこ)さんです。
外務省の辻部長の秘書をされています。
今日は辻部長が東京の本省の会議に行かれているので、彼女が代わりに先生に訊ねる為に来ました。」

「はじめまして、辻部長の秘書をしています宮司卑弥子です。
よろしくお願いいたします。」

「よく、来られましたね、さあ、空腹でしょう?
直ぐに食事にしましょう。
松浦君、
何時もの様にベランダで食べよう。
辻さんに手伝ってもらって、ベランダにこの料理と器を運んでくれたまえ。」

「分かりました。
辻さん、すみませんが、手伝って下さい。」

西日の落ちる風景がよく観えるベランダの自然木の丸テーブルに握り寿司やアジのタタキや小いわしの煮付けが酒類と一緒に並べられた。

席について、とりあえずビールで乾杯した。

「さあ、食べながら話を聴こうか?」

「辻さんから話ますか?」

「はい、実は自由国の多くの国々の外務省の高官から、辻部長に外電で問い合わせが殺到していまして、
何時も辻部長が国際会議で日本の神様の神意を先生から伺ったことを話しておられているものですから、
その意味での問い合わせが来ているのです。」

「辻ボンの奴、そんなことを国際会議で話していたのか!」

「はい、辻部長は何時も一緒に飲むときは、先生の話ばかりしておられますよ。」

「それで今日は何を聞きたいのだね?」

「はい、今、流行っている新型コロナウイルスのことです。
殆ど全部の問い会わせは、コロナのことです。
神様は何故地球上にコロナウイルスをばら蒔いたのか?という真意を聞いて来ているのです。
私は一日中、色んな国の外交官の人からの電話を受けているのです。
先生助けて下さい。
部長は先生に会って聴いてこいと言われて、東京に行かれてしまって。
本当に困っていました。」

「それで松浦君に?」

「はい、僕は国際援助事業団のことで、外務省地方部署を訪ねていて、辻部長の所に行ったら、宮司さんが、電話の応対に追われていて、事情を聞いて、初めて分かり、僕が先生と知り合いだと話したのです。」

「そのことをお聞きしまして、部長に相談したら、お前に任せると言われて、それで松浦さんにお願いしたのです。」

「分かった。
一寸待って下さい。」

と云うと芯は携帯で何処かに電話した。
2分程すると、白い作務衣を来た5人の男女がやって来て、芯の前に整列して挨拶をした。

「芯様、何かご用でしょうか?」

と一番年長者が言った。

「ああ、遅い時間に呼んですいません。
実は、あの姫が神伺いして以来、神様の通信は来ていないのだね?」

「はい、チキ姫が神合わせされて以来、何も通信は来て居ませんが!」

「分かった。
ありがとう。
もういいです。
神社に戻って下さい。」

卑弥子は松浦に小声で聞いた。

「この方達は隣の神社の関係の方々なんですね?」

「そう、先生の弟子達ですよ。」

皆が挨拶をして帰ると、細身で色白の瞳が綺麗な少女がやって来た。
芯がその少女を二人に紹介して、卑弥子に話出した。

「この娘はチキと言って、神取り継ぎが出来る霊能を持っているんだ。
この娘が神様に聴いた今までの神様からの通信は、この新型コロナウイルスを人間界に送ったのは、ある神仕組と言われています。
それは生宮、つまり人間達が、必用以上に地球の自然環境を破壊していて、いくら警告しても、止める様子がないので、緊急避難的拘置として、コロナウイルスの手を借りたということ、でした。
コロナウイルスを怖れて人間が動かない間に地球自然環境を修復していて、大分回復したとの事です。
しかし、もう少し時間が必用だと言われています。
これでいいですか?
世界中の外交官に伝えておいて下さい。
人間が地球の自然環境を壊すことをやめなければ、この新型コロナは治まらないと。
いいですね!」

「はい、先生。
よく分かりました。
私、何か酔いたくなりました。
松浦さん酔ってもいいですか?」

「ああ明日は土曜日だから、今夜は飲みあかしましょう。
ここに泊まればいいですよね!
ねえ、先生。」

「ああいいよ。
寝る部屋は沢山あるよ。」

                                                                          (つづく)