また、新しい脅迫メールが出された。
「次は、ロシアの番であるが、現在は経済制裁を受けている最中だから、パスして、中国の残りの気象衛星と、日本の気象衛星を目標とする。
中国はすぐさまウイグル自治区から兵隊を退去させて、ウイグル自治区復興政策を実行せよ。
日本は移民政策を変えて、ヨーロッパ並の水準にせよ!
それを実行出来れば、攻撃はしない。国際人権護衛団。」
と言うものだった。
このメールには中国も日本も困った。
日本政府は直ぐに対応し、メールを発信した。
「日本政府は直ぐに移民政策を改善する協議を政府内で行う。
しばしの時間的猶予を願いたい。」
と言うものであった。
中国政府はこのメールに反応しなかった。
と言うよりも、出来なかったのであった。
中国共産党の一党制度が邪魔して、ウイグル自治区協議会を弾圧している最中で、今、軍隊を撤退させると、ウイグル自治区は中国から独立するかも知れなかったから、動けなかったのでした。
3日後、中国の気象衛星が爆発した。
ゲンシステムではその前に打ち上げられたロケットはアメリカの民間月旅行会社の試験衛星しか確認はされていなかった。
新しい脅迫メールが出された。
それには
「中国は我々を無視した。
今後も攻撃を続ける。
次は45万5千Kmのラグランジュ点のL2の周りのハロー軌道に宇宙ゴミの網をはることになるであろう。」
この声明文は、中国政府の「月の裏側探査実験」を阻止するということにつながる声明だった。
これには中国も困惑した。
この月に行くための起点となるL2宇宙空間が使えないと言う事だから、実験計画を初歩から考え直さなければならなかった。
ICPOには衛星保有国から色んな苦情が寄せられていた。
当然アメリカや中国からは衛星破壊犯の氏名不祥のままの国際手配が提出されていた。
中国は自国の委員をICPOのトップにするために多額の資金をICPOに出して総局長の座を得ていたが、その目的はウイグル自治区の国際手配犯の逮捕の手配の為であった。
その目的に反して手配を取消したモー総局長を粛正して、辞任させた上に今回の事件を受けて、中国はICPOへの金銭の供与をカットしてきたのでした。
ゲン・システムからは、一番犯人に近いのは現在のところ、アメリカの民間月旅行会社であったが、実験ロケット発射は色んなところから資金提供を受けていて、資金提供する代わりに、それぞれの小型衛星の打ち上げをして欲しいという条件が付いていたりして、その衛星が何の目的で宇宙に放出されているかという目的と実質の衛星が機能的に合っているかどうかは不明であった。
ただ、二件のロケット発射とその直ぐ後に起きた衛星破壊事件については、明らかにアメリカの月旅行会社の試験ロケットであったことは明白だった。
そこでその時に放出された衛星の依頼者を追究していく必用があった。
アメリカのCIAとFBIに依頼してその小型衛星放出依頼者を調査する様に依頼したところ、何と、中国の民間大手通販会社ということが分かった。
何故中国の大手通販会社がそんなことをしたのかという理由は不明だった。
ただ、最近、この通販会社は本店を中国からアメリカに秘かに移転したことが分かった。
それも巧妙な手口だった。
その手口は通販会社の社長がアメリカのある会社を買い取り、増資してその資金で、中国の自分の通販会社を買収するという何とも不思議な手順を使っていた。
おそらく、中国共産党の取締りを怖れて、普通の会社吸収を仕掛けたものと思われた。
しかも社長はアメリカに亡命を申し出て、今は審理中であった。
この社長はこの月旅行会社の買収も仕掛けていた。
友好的買収を申し出ていたのだった。
そして打ち上げられた衛星の製作はカザフスタンで造られたことが分かった。
ロシアのロケット打ち上げ基地の近くだった。
(つづく)