千都達が入ると、今までざわついていた会議室が急に静まりかえった。


「今日はみなさん、ご苦労様です。
皆さんに御紹介しておきます。
こちらにおられる方はインターポール総局のベン・葵局次長さんです。」

ベンは軽く頭を下げた。

「今日は、葵次長さんから、重大なお話があります。
そのお話を御聞きしてから、皆さんからそれぞれの専門分野の意見をお聞かせ頂きたいと思っております。
宜しく。
それでは、葵次長、お願い致します。」

「只今、御紹介を受けました、インターポール総局の次長をしておりますベン・葵です。
宜しくお願い致します。
エー、今日のお話は、本当にそんなことが出きるのか?という疑問符があるのですが、少しでも可能性が有れば、見棄ておくことが出来ない問題なのです。
特に日本国にとっては深刻な問題なんです。
ひいては、アメリカも同じことが言えるという問題でして。
実は、これはイギリス諜報部とアメリカのCIAやFBIも一部、証拠みたいなものを握っているそうです。
それは一昨日もこの日本を襲った台風に関することなんです。
今日、この場に日本の気象庁の方もおいで頂いていると思いますが、最近は異常な気候や、台風の発生が多いと思いませんか?
これはある国が故意に起こしている新な戦闘行為ではないかと言う人もいます。
まだ、確信的な証拠は無いのですが、可能性があれば、インターポールの外部機関のザ・ゲン特殊部隊が捜査を開始することになると思います。
それは、太平洋の南部地区で異常に多い魚類や鯨等の海洋生物の死骸が発見されたことで、その死骸を検査したら、異常な放射能汚染が原因であると分かったのです。
アメリカ海洋調査隊が調べたところ、フィリピンの東方に専門家が『魔の海域』と呼ぶ暖かい海がありますが、その東方に台風が生まれる場所、東方からの貿易風と西方からの季節風が、ぶつかる場所で生まれた台風のタマゴが西方の魔の海域で大きく育ち、カテゴリー5までなるような高海水温度が起こっていると言うのです。

アメリカ海洋調査船

何故にその魔の海域で海水温度が上昇しているのかはまだ調査されていないので不明ですが、さっき話ました海洋生物の死骸の放射能汚染と関係があるのではないかと考えている訳でして、何らかの放射能を発する物質が海洋にあるのではないかと予想出きるのです。
その調査は国連環境JICAが行うことになっています。
しかし、仮に、日本を恨んでいる国が、日本に大型台風が直撃するように何かの核物質をその魔の海域に放棄して、自然に核融合を起こさしていて、その影響で大型台風が増産されているとすれば、これは大変なことであると思います。
その可能性と対策を今日は協議したいと思います。」

「はい、意見があります。」

と手を挙げて、一人の男が立ち上がった。

「はい、どうぞ、部署、お名前をおっしゃって、発言下さい。」

「私は環境庁の黒田と言いますが、仮に今のお話が正しいとすれば、魔の海域に多量の核廃棄物を秘かに投棄すれば、海が浅ければ、かなりの海水温度の上層はあり得ると思います。」

                                                                                        (つづく)