7時に食堂に行くと、もう多美子と咲良は食べていた。
幸一と純一はあわてて、バイキングのお盆を取って料理をよそおいに行った。
多美子はコーヒーを咲良はオレンジジュースを飲みながら
「パパ、神業は遊びじゃあ無いのよ!
ちやんと生宮の役目を果たさなければ、駄目でしょう!」
と五月蝿い小言が咲良の口から出て来た。
「分かったよ。
それより、昨夜は夢を沢山観たんだよ。」
「あっ!
僕も! 夢を観ました。
耕大陣さんて、本当は凄い神様なんですね!
龍体神界、つまり地球神界の出来事を全て絶体根元之大御神様に使者として伝達するお役目をお持ちなんだって!」
「もう、無駄口はいいから早く食事を済ませてよ。
直ぐに出発しますよ。
午前中に祭を終えなければならないんですから。」
咲良に急かされて、タクシーに乗った。
途中で大変なことに気付き、慌ててホテルに戻った。
何とお牛様を部屋に置き忘れて来ていたのでした。
無事にお牛様を連れて昨夜咲良が指定された坂手の隼山の東谷にある小豆島88ヶ所巡り第三番札所、真言宗御室派の『一心寺』に到着した。
咲良は寺の住職に相談して本殿の海側にある休憩所を借りて、持参して来た簡易祭壇を北向に設営して、祭の準備をした。
この寺は岩壁の横に建てられていて、反対側の休憩所からは眼下の瀬戸内の海が見渡せた。
「今日は供える豆は8種類なのか?
いつもは5種類なのに!」
「はい、今日は根元様をお迎えしての大祭ですから8種だそうです。」
「根元様が来られるのか?」
「このお牛さんは何処におく?」
「はいここに半紙を置いてその上に置いて下さい。
祭壇に向けて。」
と、休憩所にあったちゃぶ台を祭壇の前に置きながら言った。
祭が開始された。
【一心寺 正祭に近いごあいさつ】(前祭)
日時 、 12月23日 午前10時47分開始、点火。
場所、香川県小豆島郡小豆島町坂手、一心寺休憩所。北向。
先達、長谷川純一、
のり、三歩全根元のり各1回、神呼吸各3回。
取り継ぎ、
『よくぞ集いくれた、皆々、五九六であった。
道城第一眷族長神。
永の年月、ここにありて、十分なる動きが赦され無かった。
○九十に歯がゆきことなり。
今日赦されて、初めて十分なるはたらきが出きる。
我らが主(あるじ)たる道城義則之大神様、御下に集いて、
この大変の時、大いにはたらくことは、
たとえようもなき喜びである。
神人たちよ、
寒き中を歳押しつまりて、
さぞや忙しき中を集いくれて喜びである。
◯九十にありがたく受けておる。寿す。』
続いて本当の祭亊が行われた。
【一心寺大祭】ー道城義則之大神復活祭ー
日時、12月23日 12時0分点火
場所、香川県小豆島郡小豆島町坂手、一心寺休憩所。北向。
先達、五味幸一
のり、三全根元のり各1回、神呼吸各3回。
根元様参列される。
取り継ぎ、
『寿す、寿す、寿す。
◯九十に五九六であった。
五味家一家の赤誠は、道城終生忘れぬ。
やっと永の永の封じから解き放れて、大いにはたらける時が来た。
この根元の世、何としても絶体根元之大御神の御用を果たすべく、
世に出ねばならぬ時であった。
咲良殿を通じて、思いを通し、関連祭事をよくぞやりてくれた。
ただただ感謝である。
ありがたし。
また、今日は神人達、縁(えにし)ある者、集いくれて、
この祭事を赦されたり。
ただ、何と申してよいか、
言霊に表すすべなし。
ただ、心よりその赤誠をひたすらに寿す。』
この後、五味家から来られたお牛さんが道城様に御挨拶の間、約25分間、4人は待機させられた。
(つづく)