「咲良、私もこのオマケの15年の人生で自分の魂磨きを実行しようと思うんだが、どうすれば良いか上に訊いてみてくれないか?」


「『神の手助けをするか、神のことを識ること。』をしなさい、だそうよ。」

「もう少し具体的に教えて貰えないかな?」

「あら、パパ、『お宮を置きなさい。三つ』と言われています。」

「分かった。
直ぐにお宮の顕祭をしよう。
どんな宮が良いのかな?」

「パパ、明日の朝迄待っていて。
今夜夢で観せてくれるそうだから。」

翌朝、咲良がお宮の絵を描いて父親の幸一に渡した。

「ふーむ!
この宮は普通には売られていないな!
特注で注文しなければならないね!
この絵だと二つだけどあと一つはどうするの?」

「それがね、あと一つの宮は無いの。
何も置かなくて良いみたいなの。」

「そうか、では咲良、インターネットで近くで宮を製作しているところはないか、調べてくれないか?」

タブレットをいじっていた咲良が言った。

「パパ、神宮の専門店はあるけど、全て伊勢神宮方式みたいだから、特注するのだったら、大川家具で作ったほうが良いみたいですよ。」

「分かった。
それでは昔からの知り合いの大工さんに頼もう。
咲良、宮の絵を見せてごらん。」

と幸一は咲良の描いた絵を元にして、簡単な工作図面を描いたのでした。
知り合いの大工さんに電話をして、自宅に来て貰い、咲良の意見を訊いてお宮の置き場所を決めて、神棚も含めて、製作を頼んだ。
全て檜造りで、かなりの値段になったが、思いきって製作を頼んだ。
1月後、自宅の二階の北側の壁の上部に二つの宮を置く神棚が並んで取り付けられた。
そして、総檜造りの三角屋根の守護之宮と平屋根で五角柱の人祖之宮が並べて置かれた。

      守護之宮

   人祖之宮

宮の中の御神名札にはまだ何も書かれていなかった。

「パパ、『宮の顕祭をしなさい』だそうよ!」

「顕祭とはどうすれば良いのだろう?」

「祭の準備をして、神様が後はやり方を指導して下さるそうよ。」

「分かった。
それでは祭をする準備をしよう。」

「パパ、硯にお酒で墨を摺って置いて下さいね。
私はママとお祭りに供える物を買い出しに行って来るから、
ママ、いきましょう。」

と言い残して二人は出掛けて行った。
40分後に二人は戻って来た。
野菜を買いこんで来ていた。
そして、土器(かわらけ)に塩と洗米を少し盛り、水器に一杯の水を入れ、二つ一式の瓶子(へいし)に日本酒を入れて、二個一セットのローソク立てのかがり火に灯明のローソクを立てて、宮前に置き、その前に半紙を敷いたお盆にネ・ハ・ミと言って根の物、葉の物、実の物の野菜を一杯盛って置いた。
それぞれの宮から御神名札を取り出して、幸一が当主として墨々と御神名札を書き上げたのでした。
左側の守護之宮には、真ん中に「地乃世界之大神」、その左側に「日乃丸姫之大神」と同じ札に並べて書き、真ん中に立てて、その右横の札には、「末代日乃王天之大神」とその左側に「上義姫之大神」と書いて立てた。
最後に左側の札には「五味家御守護之大神」と記して立て、3っの御神名札が並んで宮に納められた。
札の裏側には同じ様に位置が同じになる様に表とは逆に書かれていた。
今度は、右側の人祖之宮に真ん中の札に「人祖之神」と記して立て、その右側に「第三源流」と書いて立てて、左側の札には「五味家々祖」と書いて立てた。
別に宮の中に置く小さな神名前札に「水子」と書いたものも置かれた。
この宮の御札の裏側は何も書かれていませんでした。
つまり、守護之宮は、今、五味家の家系で現世に生きている人々の護りをされる地球管理神界の神様が神座される宮だった。
それに反して、人祖之宮は、仏教の仏壇と同じ様な意味合いで、五味家々祖様方の為の宮と言えそうだった。
幸いな事に早くして両親を無くした幸一は自宅に仏壇を置いていなかったから、良かったが、仏壇を祀っている家系では、いきなり人祖之宮を祀ることが出来ないで、しばらくの間は人祖之宮に代わる「祖霊之宮」を祀るらしいとのことだった。
最後に咲良が忘れていたと言って、急いで、5つの土器に5種の生豆を少しづつ盛ってそれぞれの宮に供えた。
加えて生卵三個を茶碗に割って入れて、守護之宮にだけに供えた。

「咲良、何故卵を供えたんだ?、他の宮には供えなくて良いのか?」

「うん、龍体神様方は生卵が好物なんだって!」

これで準備完了。
いよいよ顕祭祭事を開始することになった。

                                                                                  (つづく)