映画パッドマン「PADMAN」…この映画を観に行ったのは、2019年1月末。奥ノ谷圭佑さんの主催している「kisobars talk 」で行った渋谷シネクイント…試写会上映のようなちいさな映画館は席もゆったり空間が心地よい上質な映画館でじっくり観るには最高の場所でした。

新型コロナウィルスの影響で映画館の運営が大変だと聞きました。世界はどう変わっていくのでしょうか・・・

 

話戻します。

 

先日、友人のはせけんがやっと観たよ〜ってtwitterに書いていたので、想い出しました。すご〜く良い映画だったことを。あまりにも感動して、ブログを書いていたことを・・

 

こんにちは、前川弘美です。今回は、映画「パッドマン」を観ての感想を当時書いてたラインブログを引っ張りだし読み直してここに移します。

映画の感想をブログに書いたのはこの時が初めて。次はこの間観てすっごく心に残った「見栄を張る」の2本だけです。なので、ヘタッピですが、よかったら読んでくださいね。


映画の感想、ひとことで言うなら、

 

号泣〜〜っ!!





 

「今、泣きたい!止まらないくらいの涙を流したい気分のあなた」は、

このブログは読まずに「パッドマン」観てください。

絶対に前振り無しに観た方がいいので。

これ読んだらネタバレにはなっちゃうけれど、興味あるあなたは読み進んでくださいね。


・前置き
偶然の出逢いって好きなんです。

 

だから車の運転中、FMをかけています。偶然にかかる曲がその時の自分のキモチにぴったりハマるとすっごく楽しいし、それが知らない曲だったりすると、サプライズプレゼントをいただいたみたいで嬉しくなっちゃう。

映画も同じ。ほとんどは「コレを観よう!」って決めて行くんだけど、あらすじ知らずに観てハマった時にはいつまでも印象に残ります。

先日観た「見栄を張る」がそうでした。

すご〜く良い映画でいつまでも自分の心に残っています。

映画の感想を書いたブログは、今までにこの2つです。良かったら見栄を張るの感想も呼んでね。

 

・さて、本題

パッドマンのタイトルの「パッド(PAD)」は生理ナプキンのこと。ナプキンの開発をし、ナプキンの存在を世の女性に広めて5億人の女性を救った男のお話。


ナプキン開発秘話、って聞くと面白くもなんともないような気がしますよね。それが違うんです〜。

これは現代の、つい最近の物語。主人公のラクシュミは1962年生まれの56歳。

映画は彼の結婚直後2001年頃のお話。


私はラクシュミと同じ年の生まれ、自分が初潮を迎えた1970年代前半に日本ではすでにナプキンが存在していました。生理用ナプキンが日本に登場したのは1961年です。それなのに今から20年前のインドではまだ普及していなかったと言う言う事実。

まず、生活の違い風習の違いに驚きました。

 

同じ地球に住んでいながら、全く異なる価値観で生きている人たちがいる。

 

不衛生な環境と不条理なしきたりで「あの日」が終わるのを待つ妻。その様子に気づいた主人公ラクシュミは、とても高価な生理用品を大好きな妻の為に買ってプレゼントする。けれど喜ばれない・・拒否されてしまう。

当時のインドでは、生理の時の不衛生が原因で亡くなる女性がとてもたくさんいたらしいんです。そこで彼は、自分で作り始める。愛する妻の命を落とさせないために、ずっと一緒にいたい一心で。

でも妻には、社会にとって禁断の生理用品を開発し続ける夫の心を理解できず、家族からも村人からも見放され、ヘンタイ、クレイジー扱いされてしまう。

妻に愛想をつかされ村からも追い出されてしまう。

それでも愛する妻の命を守るにはこれしかない、と開発し続けるラクシュミの一途さ。


素敵!こんな男いるの? 

生き様がカッコイイんです!


で、尽くし続けるのに、ずっと拒否されちゃうんだな〜。せつなくて可哀想…


号泣が止まらない映画だったけど、ラクシュミと妻、ラクシュミと第三のオンナ…恋愛ものとしてもこの映画、秀逸! 今回は、パッドマンから男と女の心理を書いてみます。

【オンナが男を嫌いになる理由】


ナプキンを使わずに生活するインドの田舎の女性。生理中は、家族と共に寝食共に過ごすことを許されない。食事も取れず外出出来ずベランダのようなとこで寝て5日間を過ごす…日本で育ってきたわたしには耐えられない酷い仕打ちだけど、主人公の妻ガヤトリにとって耐えられないことはそこではない。

 

耐えられないのはオンナの禁断に夫に踏み込まれたこと。

 

「死ぬことより恥ずかしいことの方が辛い」と言う妻。

 

そう、首、突っ込んで欲しくないこと、ってある。
優しい男って良いけれど、あれこれ聞かれたり、かまわれすぎるとウザイ。


オンナの聖域があるのです。

 

その聖域は人それぞれ。自分は優しくしてるつもりなのに、妻や恋人に嫌な顔をされてフシギに思う男性へのアドバイスは、ひとこと。

 

ほっといてあげて!


【それでも女のために男が尽くす】


楽しそうにナプキンを作るラクシュミにホント心が奪われてしまう。

拒絶されても愛する妻のために一心不乱に開発し続ける。


愛するガヤトリが死んでしまうのが、夫ラクシュミにとって唯一の辛いこと。

不衛生な布を生理中に使うこと=死と向き合う日が月に5日間もあることに耐えられない夫は、死の呪縛から解き放とうとナプキン作りに励む。

 

「嫌われても、死なせるよりは良い」と言う夫の究極の愛情表現。

 

く〜っ!!

どちらの気持ちもわかるので、せつないんです。

【女は幻想のためにお金を遣い、男はリアルにお金を遣う】
ラクシュミは頭のイイ男で技術者なのです。

妻はその当時のインドで過ごすフツーの女。自分の命に関わるお金をケチるクセに「極楽浄土へ行くため」にはポンとお金を使ってしまう。

 

女はいつでも幻想の為に費やす。

幸せになれるかも、綺麗になれるかも、と化粧品を買い着飾る為にお金を遣う…
賢い夫は幻想にはお金を遣わない。でも、妻の幸せな顔が今見られるならと、現実に投資する。

ラクシュミは、妻が心地よく幸せな顔で生活するためにお金を使い、何かを創る男。

優しいな〜、妻は幸せなのです。

【蔑まされた男が取った行動】
妻のためにナプキンを作って村中から変態扱いされるラクシュミ。「こんな綿と布で自分の人生台無しにされてたまるか。」…って思うとこまではわかる。ふつうなら絶対にやめる。

なのに、


「軽蔑を尊敬に変えてみせる」と決意するところがスゴイ!!
ど〜なんだろう…村人全員にキチガイ扱いされて追放されそうになったら、(こんな綿と布なんかもう要らない、女の生理についてもう一生考えるものか! )となるのがふつうではないだろうか??
自分が正常な男だと認めてもらえる唯一の事は、自分のやっている事が正しいとわかってもらうこと。それまでやり続ける。(使えるナプキンを完成すること。)

そんな考えに及ぶラクシュミの精神がカッコよすぎてゾクゾクしました。



【真の天才とは、トライandエラーと、ヒラメキの連続である】


村でも散々トライ&エラーを繰り返し、村を出て、今度はまた、ゼロから追求する。素材から追求する。

今まで決めつけていた考えをゼロにして、何なのか? どうやったら手に入れられるのか? と考えるクセ。

自分の知りたい情報をゲットするためにはどんなことでもする。頭の回転と知恵の使い方に拍手なのです。


例えば、知りたいことを教えて貰いたい一心で大学教授の家でお手伝いさんをやる。そんなラクシュミを教授の坊やが応援してくれる。やがて教授にもラクシュミの情熱が伝わる。


新型の機械を買ったらいいよ、と教えてもらえる。
(ふつーなら、買うよ、この機械。今度は手にする為の資金を集めようとするんじゃないのかな〜)
けれどラクシュミは閃く!

そっか、機械を作ればイイんだ、自分の得意分野じゃないかと…ヒラメキは続く。ドンドン閃く。


同じ機械を作るんじゃない、同じ機能で安く沢山作れものを作ろう、妻だけじゃなくて沢山の人のためになりたい


彼のとてつもなく大きな心を示しているとこ。

そうして、シンプルな構造を追求してモノ作りに励む。やがて完成させてしまう。


ホント、凄すぎです。


【デキル女が惹かれる男とは】

めでたく完成したナプキン。

でもそれを試してくれる人がいず、探し続ける。

出会った女性は、インドの都会に住み毎月使っていた女性。突然やってきたアノ日にナプキンがなくて困っていたところに、偶然の出会い。

それがパリーです。
都会に生まれ賢く聡明な女性パリーは今までの生活に物足りなさを感じ、新しい何かを求めていたのかな? 自分の周りにいない男、お金でない何かを大切にし壮大な夢を実現しようとする男に惹かていく。
インドの田舎を周り寝食共にし、お互いに惹かれあってるのに決して手を出して来ないラクシュミ。
彼女は待ってるのに決して触れないラクシュミ。

妻に捨てられた男と聡明で謙虚な若い女…

ラクシュミは駆け引きしてないだろうけど、この焦らし作戦はオンナの心に火を点かせるはず

【デキル女は愛する男のために去る】
映画の後半戦は、「ふたり、いつくっつくの? 」と、じれったい気持ちでいっぱいになっていました。

そう、私はパリーが大好き!

ラクシュミのことを尊敬してアシスタントする彼女は素敵。ぜひ、くっついて幸せになってほし〜、と思っていました。


その時がついに来た!と思った。

NYでの表彰式、「一緒に出て」とパーリーにお願いするラクシュミ…でも、晴れ舞台に彼1人を立たせる心の広い女…めっちゃイイ女じゃありませんか?!
で、号泣の感動的な素晴らしいスピーチが終わった後、ふたりはハッピーエンド。

絶対そう思っていた。なのに、


そこで突然の妻からの電話…


さぁ、どうなったと思いますか?

はぁ〜せつない。

【男が妻の元に帰ったわけ】

わたしも夫のいる身、妻ですが、この映画では彼と彼女パーリーにハッピーエンドになってほしかった〜。だって、夫の優しさを理解出来ずに見放してしまう妻。その後もずっと音信不通。
それより、彼の夢を後押しし共に努力し成功へと導く彼女に文句無しの1票を入れてしまいます。


なぜ?なぜ帰るの??


妻に会ってちゃんと別れてくるのかな?

そんな期待もしていました。

でも彼は都会に帰らないんです。元のサヤに収まってしまうのです。

インド政府から褒章を妻と共にいただきに行くのです。そこ、かなり憎らしかった。それって、共に手伝ってきたパーリーの役でしょ! 違〜う、心が騒ぐ。


でも一体、なぜ?

彼の真の男としてのプライドなのかも。
綿と布の為に蔑まれた男は、尊厳を取り戻す為に帰った。文明人からの賞賛でもなく、困っている人々に感謝されることでもなく、田舎の素朴で無知で慣習に縛られてた妻が意識革命することこそ、彼の真の目的だったのだと、思った。 だから勲章授与を妻に見せてあげるのも彼にとって意味あることだったのかも。 

軽蔑を尊敬に変えて見せた初志貫徹。


少し心残りはあるけれど、やっぱりラクシュミは素敵!
もはや私の中でスーパースター。

【どっちがイイ女?どっちが男のため?どっちが幸せを得る?】

夫を見放し許せない妻のガヤトリと、

ラクシュミの夢を一緒に実現した妖精のパーリー。


イイ女は絶対にパーリーだと思ってた。無知故に従順で受け身なガヤトリにも共感するけど、パーリーに軍配を上げてしまう。 だってずっと苦楽を共にし夢を実現してきたんだもの。 あの時、一緒に舞台に立ってたら運命が変わっていたのかも、あの時電話を取らないで2度目のキスをしていたら…とヤキモキしていました。
でもね、ある意味ガヤトリが頑なに彼を拒否したから最後までラクシュミはこの仕事を貫けたのかも…早めに許して受け入れていたらこうはなっていなかったかも…だとしたら、とすると…イイ女はどっち?!


私情的にはパーリーです。

でも、優劣はつけません。イイ過ぎるのもダメなのかな〜。いえ、パーリーは彼女にもっとふさわしい相手に出逢えたに違いない。


映画とはいえ、深いわ〜 
ラクシュミリの生き様にぞっこんです
ホントに、良い映画でした
観せてくれた奥ノ谷さんに大大感謝です




完全にネタバレでごめんなさい…

でも、これ読んで、映画観たくなってくれたら嬉しい!

絶対におススメの映画です。




今日も最後まで読んでくれたあなたへ


ありがとう




前川弘美