──怖い。いざ自分が告白するとなると、こんなにも緊張するものなのか。

 過去、僕自身おんにゃのこに告白されたことは、何度かある(鼻がデカい子とか、メンヘラっぽい子に)。その結果付き合ったことも、ある(メンヘラっぽい子とか、体重100㌔級の子と)。

 でも、自らの意思先行で形になったことは一度もないのだ。すわ、俺のターンとなるとこれほどまでにボタンを押す手が震えるものか?

「……はあ。だから貴方はいつまで経ってもダメなんですよ」

 電話の向こう、僕よりもはるかに恋愛経験豊富でモテ男である悪友のキヨシがイケボで言う。

「まずはぶっちゃけ凸ってみるですよ。絶対に『ヒィィ!』言われて警察呼ばれますから。で、すぐさま事案になるですよ」

 いやいやいや。そのどこの方言かわからん言い草も腹立つし、あたしゃ捕まるつもりも一切ございませんから。

「つーか、そもそもスミダさん。何かその子に前もってアプローチしたことあるんですか? レジで会計の時に声掛けたとか、うまいこと言って笑い取ったとか」

 ──いや。過去普通に何度も買い物はしたけど、いつもしおらしく笑顔で応対してくれてたし、お釣りを渡す時も手を下に添えてくれてたし……なんつーか、はにかんでたよ。毎度はにかんでた!

「バカだなあ。本当にバカだなあ。そんな些細なことで糠喜びしてるのはきっと世界で貴方一人きりなんですよ。察するに彼女は太平洋のように心が広く、それがゆえ貴方を含むどんなゲス野郎にもこれまで優しく平等に接してきたんでしょう。で、それを見ていたどこかの金持ちで歯医者の息子のイケメンヤリチン野郎が彼女に声を掛けて口説き落とし、自室へ連れ込み唇を奪い頭を撫で、もはやすでにその純潔を奪っていることでしょう。性の歓びを知ってしまった彼女は、下賤の客にはいい顔しつつ、今もその彼ピッピの肉棒を美味しくしゃぶり上げてるに決まってるですよ──あ、もう切りますね」

 この男……。ええわい。もうワイ、この後、突撃したるねん!