ながの 聖  -120ページ目

政治と「カネ」の問題

 少し前の話になりますが、大阪府議会議員の資産公開が行われました。これは、資産公開条例に基づき、任期開始日(4月30日)時点で保有している本人名義の土地、建物、預貯金(普通口座の預貯金は除く)、有価証券などの合計額を報告するものです。大阪府議の平均資産は2105万円でしたが、私は「ゼロ」の報告になりました。「ゼロ」というのは不自然に思われるかもしれませんが、4月30日という当選後の間もない時期であったことと、現在に至るまで賃貸物件に住み、有価証券やゴルフ会員権など持ったことがありませんので、公開基準に従って公開するとこのような結果になりました。


 ただし、私は議員が一定の財産を保有することは、悪いことだとは思いません。それどころか、世に言う「きれいな政治」を行ったとしても、政治活動を遂行するためには、資金や資産は必要であると思っています。つい半年前までは大学教員であり、まだまだ議員ずれしていない普通の金銭感覚を持っているつもりですが、自分の活動を世間に認識していただくためには、想像以上に相当の資金を費やさなければならない現実があるのです。議会終了後から府政レポートを作成していますが、発送にかかる費用など決して少なくありません。これまでに議論されてきた政務調査費の問題にしても、府議に支払われている月額59万円という金額に対する議論ではなく、その使途をオープンにすることこそが、府民の皆様から理解を得る第一歩だと感じています。今年度から、政務調査費の使途は領収書1円から公開することが9月定例本会議で可決されましたが、年度末に記載される収支報告書をご覧いただくことにより、政治活動がいかなるものかを理解される一助になればと思います。



長野聖のブログ-07-10-24


注)画像はクリックすると大きく表示されます

議会報告・新聞報道2・「介護サービス情報の公表」手数料を減額!

 議会における府議会議員の役割は、主に1)代表質問、2)一般質問、3)常任委員協議会質問、のいずれかにて、知事を含む理事者(部長など行政職幹部)に対して質問をすることです。


 私は今回の議会では、10月5日の健康福祉常任委員協議会において、健康福祉部に対して約1時間の質問を行いました(写真1,2)。その内容は、1)小児救急における医師不足対策として、小児救急電話相談事業の更なる充実と、保健師業務の再構築、2)腸管出血性大腸菌(O-157等)感染症対策について、肉の生食に対する注意喚起の徹底、およびスーパーマーケット等での啓発、3)「介護サービス情報の公表」制度における手数料の減額、4)大阪府保健医療計画における府立系医療機関の役割、の4点です。

 とりわけ、「介護サービス情報の公表」制度における手数料の減額については、この件を私が委員会で質問したことが毎日、産経新聞に掲載されました(写真3)。これは、介護保険法第115条・29の規定により、介護サービス事業者のサービス内容、運営状況を調査し、その情報をインターネットで公表する制度ですが、その公表には事業者負担の手数料が生じることが、介護の現場で問題になっていました。


昨今のコムスンの問題で明らかになったように、介護サービス事業者のサービス内容や運営状況を府民の皆様にきちんと公表することは、事業者の介護サービス向上のためにも非常に大切で、この調査、公表の意義は十分に理解できるところです。しかし、調査実施に係る1)手数料、2)調査の方法、3)調査後の情報公開、について問題が散見されるため、委員会にてこれらの点を質問しました。質問の詳細を以下の別枠に示すとともに、大阪府議会のホームページにて委員会の様子を動画で配信しています。


■ここから→http://www.gijiroku.jp/dvl-osakahu/

アクセス方法を下記に記載しますので、併せてご覧いただければと思います。



 質問の結果、健康福祉部から1)平成20年度から手数料の減額、2)調査時間の短縮など効率的な調査方法の実施、という2つの意義のある答弁を得ることができました。これからも来年2月の議会に向けて、手数料の減額の幅や、調査方法の具体策について引き続き議論を重ねていく必要がありますが、ひとまず「減額」という方向性を提示できたことは、一定の成果であると自負しています。


 また、この問題について事業者の方々からご意見、ご要望をお聞かせいただければ幸いです。


別枠

1.この手数料は大阪府福祉行政事務手数料条例により61600円に定められているが、他の都道府県の現状と比較して高額で、しかも1つのサービスごとに生じており(訪問介護と福祉用具貸与の2つのサービスを行っている事業所であれば12万3200円)、毎年、調査をする度に支払う義務がある。現行の介護保険制度の下で、サービス事業者が「益」を捻出するために大変な努力を重ねている今の現実に対し、非常に厳しい制度であるため、手数料の減額を求めること。


2.この調査は、委託を受けた調査員がサービス事業所を訪問し、事業所のスタッフが対応することで行われているが、調査員への対応に半日程度の時間を費やしている。今、介護の現場の多くは、決して十分とはいえないスタッフの人数で運営しているのが実情であり、半日の時間を捻出することが容易ではない事業所が多い。現場からは「訪問されて、半日時間を費やしてまで協力しなければならない価値がある調査か?」といった、調査の質に対する疑問や不満の声も少なくない。調査方法そのものを、現場のスタッフの負担にならないよう工夫してほしいこと。


3.「大阪府介護サービス情報公表センター」のホームページに公表される調査結果について、どの程度のアクセス件数があり、有効に活用されているのか明らかにすること。



長野聖のブログ-07-10-16-1

長野聖のブログ-07-10-16-2

長野聖のブログ-07-10-16-3

注)写真はクリックすると大きく表示されます

議会報告・新聞報道1:医師不足対策として全国初「医療秘書」導入

 9月20日から始まった大阪府議会の9月定例会会議(写真1)が、10月16日に終了予定です。私の所属する民主党・無所属ネット議員団は、本議会でいくつかの成果をあげることができました。その一つが代表質問(注1において答弁が得られた、全国初の「医療秘書」の導入です。この「医療秘書」に関する報道は新聞記事として五大誌に取り上げられ、とりわけ毎日、産経新聞に至っては、写真2のように一面で取り上げられたことは、社会が医師不足対策について強い関心を持っていることを改めて感じさせられました。


現在、産婦人科、小児科をはじめとする医師不足が全国的に問題になっていますが、これを解消することは容易ではありません。医師の養成は学部教育の6年で国家資格を得た後、臨床研修を経て、おおむね10年かかるとされています。まさに今、求められている現役医師の負担を減らすためには、医師が不足しているから医師を増やすという対策は、長い年月を費やすと言う点で即効性のある解決方法ではありません。


 そこで、私の所属する民主党の医療福祉部会(注2では、現役医師の「業務」に着目し、彼らの負担を減らす手段の一つとして「医療秘書」の導入を提案しました。医師は患者さんを直接診る、いわゆる診察だけではなく、それに付随して様々な書類の記載や管理などの業務に貴重な時間を費やしています。医療・介護保険制度の変化に伴い、このような管理業務は日々増加しているといっても過言ではありません。この管理業務を誰かが補助できれば、本来、患者さんが医師に求めている「患者を診る」時間を増やすことができます。例えば、1日に20人の患者さんを診察していた医師が、その管理業務を「医療秘書」が補助することにより1日に40人の患者さんを診察できるようになれば、事実上、医師を1人新たに確保したことと同じになるのです。ただし、医療秘書の業務の範囲については、医師法などと照らし合わせ今後の検討が必要であるため、来年度は府立系の病院でモデル事業を実施する予定になりました。


 私は、このモデル事業の成功は医師のみならず、医療・介護に携わる様々な専門職が、現場で本当に自らの専門性を発揮できるようにするために重要だと思っています。それぐらい日本の医療・介護の専門職は、本来の専門職としての仕事に加え、管理業務に日々追われているということを、府民の皆様にも知っていただければ幸いです。


注1)代表質問
 9月27日に民主党・無所属ネット議員団の代表質問が、品川 公男(しながわ きみお)政調会長により行われた。代表質問とは、各会派(政党)の議員数に応じて割り与えられる時間を使って、知事や理事者(行政)に対して答弁を求めるもので、民主党・無所属ネットには75分の質問時間が与えられた。質問時間が75分であるため、知事、理事者からの答弁の時間を含めると、概ね3時間にわたって質問-答弁が繰り返された。
 民主党の議案は、1)地域主権のあり方について、2)財政再建、産業育成について、3)流入車対策、4)少人数学級、知的障害生徒受け入れなど教育課題の解消、5)都市基盤施設の維持補修、6)命の尊厳と命を守る行政課題、7)防災センター整備について、などであるが、医師不足対策をはじめとする「命の尊厳と命を守る行政課題」についての質問には多くの時間を費やした。


注2)医療福祉部会
 民主党・無所属ネット議員団で構成される政調部会の一つ。部会長:井上 章、事務局長:上野和明、副部会長:長野 聖であり、本部会から医療秘書導入案を提言した。他には総務部会、 商工労働部会、 文教部会、環境農林部会、まちづくり部会から構成される。

写真1


長野聖のブログ-07-10-15-1

写真2


長野聖のブログ-07-10-15-2


注)写真はクリックすると大きく表示されます