春とみどり  フレックスコミック

作者 深海 紺

初版発行 2019年4月20日

 

人づきあいが苦手で、

どこにいても居場所がないと感じているみどり(31)は

中学時代好きだった親友・つぐみの葬儀で、

つぐみと瓜二つな彼女の娘・春子(14)と出会う。

 

かつて自分に居場所をくれたつぐみ。

今度は自分が春子のために居場所を作ろうと、

みどりは春子を引き取ることを決意するが……

 

 

桜と喪服と遺影に制服。

 

字面で見るとなんとも交わりあいそうにないものが、こんなに綺麗に描かれている衝撃。

 

絵の感じも好きで購入しました。

 

まったく会っていなかった、中学時代の親友の訃報から始まる物語。

 

教室の隅でうつむいてばかりいたみどりのたった一人の友達。

 

その親友に対して、みどりは大好きだったと表現しますが、

この好きは結構強いものだと思いました。

 

居場所をくれた唯一の存在。

それがとても大きなことだったんだと、言葉や表情の端々で感じます。

 

そんなみどりの前に現れた、学生時代のつぐみに瓜二つな娘・春子。

 

葬儀の場で、彼女には身寄りがないことを知り、思わずみどりは

『居場所ならあるよ。私が作ります』と。

一緒に暮らしましょうと言います。

 

恩返しっていう言葉じゃちょっと足りないかな。

 

使命や宿命?

私しかいないっていう強い思いを感じました。

 

でも人前が苦手なみどりは、この大事な場面で声は裏返るし、どもってしまうし。

 

強いのか弱いのか。

 

そんなこんなで二人の生活が始まります。

 

それまで人づきあいが苦手だったみどりは

突然の二人暮らしに四苦八苦。

 

春子がとてもしっかりしていて、

もうどちらが引き取ったのかわからないくらいです。

 

時折思い出されるつぐみとの思い出はどれも素敵で、

自分もそんな風になりたい、ありたいと思うみどりもとても素敵です。

 

そんな凸凹コンビの、共同生活。

 

続きが楽しみです。