あなたのための誘拐 祥伝社
作者 知念実希人
あらすじ
女子中学生を誘拐した謎の犯罪者<ゲームマスター>が課した【ゲーム】に失敗、被害者を死なせてしまったことで、警視庁特殊班(SIT)の刑事、上原真悟は職も家族も失った。
それから四年、再びゲームマスターを名乗る誘拐犯が現れる。
被害者は女子高生、身代金は五千万、警察への通報も指示されたという。そして要求はもう一つ、交渉役は上原真悟にすること。
「ずっと君とまたゲームがしたかったんだよ」とうそぶく犯人に、真悟は失いかけていた刑事魂を燃えたぎらせるが……
感想~ネタバレなし~
平積みされていたこの本の表紙を見て思わず手に取りました。
作者名をみると、以前読んで面白かった小説と同じ作者だったのでそのまま購入。
主人公は自分の力不足で被害者を死なせてしまい、辞職した元刑事の男。
男は刑事を辞めてからも刑事魂は失わず、犯人の捜査を独自に進めていたが、その目標を失った時、彼は刑事魂だけでなく、人として何か大事なものも同時に失ってしまった。
そんなある日、再びゲームマスターが現れ、生きる意味を見出すことになる。
この小説、警察物が好きな人にはお勧めです。
かなり詳しく警察の内部の事が書かれているように感じました。
特に誘拐事件の捜査に関してとても詳細に書かれていて、臨場感や緊迫感が伝わってきて、中々読む手が止められませんでした(^^)
この作品は大きく二つの章に分かれており、事件編と捜査編といった感じでしょうか。
事件編は誘拐犯ゲームマスターとの頭脳戦にハラハラさせられます。
捜査編は、あらゆる登場人物が怪しく感じ、いったい誰が犯人なんだとそわそわしながら読み進めていきました。
ページ数もなかなかあり、読みごたえはあると思いますが、長いとは感じませんでした(^^)
ここから先はネタバレありです。
まず、最後の犯人は私は予想してない人物で驚かされました。
ここ最近読んだ小説の中では一番主人公と歳が離れていたためか、中々感情移入が難しかったですが、それでも楽しめました。(^^)
最後犯人は捕まらず、結末をぼやかされましたが、私個人の想像では癌で死ぬまでに優衣に辿り着く、あるいは辿り着かなくても死ぬ間際に優衣が会いに来て、二人は面と向かって話をしたのではないかと思いました。
優衣は、死ぬ間際まで自分の事を考えて最期を迎えてほしいと思っているだろうし、真悟も優衣を見つけ出すことが残りの人生すべてを投げうるに値すると思っていると感じたからです。
その後優衣はどうするのでしょうかね。
最期を見届けて後を追うのか、はたまた自首するのか。
もしかしたら真悟に殺されることを願うかもしれませんが、真悟は出来ないでしょうね。
父親譲りの執念と一途な思いから、その後普通の生活に戻ることは考えられませんしね(^^)
『あなたのための誘拐』私のヒーローだった父親の、輝いていた姿をもう一度見たいという純粋な思いから起こした模倣誘拐事件。事件の緊迫感と犯人に近づいていく時のハラハラ感、最後までとても楽しめました。(^^)
同作者の小説感想です↓
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