理佐said



由依「ねえ、先生。好き」 


放課後、生徒から告白された。

 
理佐「ごめん。気持ちには応えられない」



由依「じゃあ好きでいさせてください」



理佐「私は教師、あなたは生徒。もしバレたらただ事じゃ済まないよ?」



由依「私はバレてもいいですよ」



理佐「あなたが良くても、一番悲しむのはあなたの成長を近くで見守ってきた、親御さん達。」



由依「……っ……」



理佐「親御さん悲しんだらどうなるんだろうね。あなたへの信頼も失ってなにもかもなくなるよ。じゃあ、気をつけて帰ってね」



私は図書室から出ようと足を進めた、すると後ろから手を握られ、



由依「私の事、嫌いにならないで……」



と、私の目を見て泣きながら訴えてきた。




理佐「当たり前でしょ、嫌いになる要素どこにあるの」



由依「っ、ありがとうございます!」



私は目の前にいる小林由依という私の生徒の手を離した。






2年後。



私は小林さんを好きになった。


あることをきっかけに。



仕事が終わり、暗い路地裏を歩いていると男に後ろから襲われた。


肩を押され、前に倒れ、無理矢理服を脱がされた。



……………………………………………………



理佐「いやっ……やめ、て……!!」


小さい頃から中年男性へのトラウマがあってからか、私は思い出してしまい、抵抗が出来なくなってしまった。



男「今から気持ち良いことしてやるからよ…」



ブラジャーまでになってしまい、私は声を出すしかなかった。



理佐「助けて…だれか、っ……助けてっ!!」



声を出したって、無駄。こんな夜の路地裏なんて誰も来ない。だけど私は小さな期待を持ちながら必死に叫んだ。



すると、瞬きをしたとき、男が目の前から消えていた。



理佐「……えっ?」



横を見ると、フードの被った人が男を倒しているの所が見えた。



?「こーんな、所で気持ち悪いことすんなよ」



声が低いから、男性だろうか。


男「っ、お前誰だよ!!」


?「答える必要なんてない、もう殴られたくないんだったから早く行けよ、」


男「っ、くそ!お、覚えとけよ!!」


男は参ったのか、必死に息を切らしながら逃げていった。



こんな恥ずかしい姿を見られたらやばい。



?「大丈夫ですか、先生。」



声が高くなり、予想をしていなかった言葉に喉が詰まる。



理佐「え、こ、小林さん、?」



フードを外し、サラサラの髪を晒した。



由依「こんな道、通らない方がいいですよ。ほら、服着てください」


小林さんは手で服のゴミを振り払い、私に渡してきた。



理佐「あ、ありがとう……」



由依「なに、ビビってんですか?笑、私はなんもしませんから。安心してください」



理佐「ち、違うの、小林さん強いんだなって…」


由依「保育園から空手ならってたんで…笑」


理佐「…かっこよかった///」


由依「っ/////、は、早く服着てください!」


理佐「んふふ笑」



私は体制を整え、上着を着た。



由依「先生が…笑った…!」



理佐「そりゃあ、人間だもん、笑うよ」



由依「え、もう1回笑ってくださいよ!」



理佐「嫌だよ!もう小林さんには笑わない」



由依「え〜、あ、そうだった、お母さん達待たせてるんだ!笑。じゃあまた襲われないように!さよなら!」


小林さんはまたフードを被って走っていった。



理佐「意外と、天然なところあるんだ。可愛い」



……………………………………………………



私はその日以降、小林さんを目で追うようになった。生徒ではなく、1人の女の子として。



そして今は卒業式が終わり、帰りの時間だ。


もう小林さんに会えないのか……可愛いあの笑顔は見れないのか……と誰もいない図書室から門を出る卒業生を見ていた。



?「せーんせっ」



声がするほうを見ると制服姿で優しい笑顔を浮かべている大好きな人がいた。



理佐「なんでいるの?帰らないの?」



由依「最後に、気持ち伝えに来ました!」



理佐「気持ち……?」



由依「私のわがまま、聞いてくれますか?」



理佐「うん、いいよ」



由依「私を、抱きしめてください」



理佐「え?」



小林さんは表情ひとつも変えずに私の方に来た。



由依「お願いします」



私はゆっくりと包み込むように抱きしめた。



由依「ふふっ笑、なんか、安心する」



このドキドキ小林さんに伝わってないかな。



小林さんはゆっくりと私の体を離し、私の目を見た。



由依「2年前のこの日、なにがあったでしょうか」



理佐「小林さんが、私に告白してきた」



由依「正解、笑。もう一度言い直していいですか?」



理佐「え?あ、あぁ、うん」



由依「私、先生に断れたあと必死に諦めようと努力したの。諦めれる…諦めれるって思った日の夜、たまたまランニングしてたら先生の叫び声がして、私は勝手に体が動いてた。我に返った時は男が逃げていて、先生の方を見たら涙ぐんでた。初めてあの笑顔を見て、これからもこの笑顔1番近くで見たいなって思ったんだよね。あの日からこの卒業までずっと我慢してたんだよ?」




小林さんの一言一言が胸に刺さる。



由依「先生、私に本気の恋を教えてくれてありがとう。私、大人になって、絶対先生と付き合うから。だから、待ってて欲しい……です。」



小林さんが涙を我慢してる。


由依「先生が、可愛いって思うような女の子になるから……好きって言ってもらえる女の子になるから。いつか、迎えに行く。」




私はいてもたっても要らずに小林さんの唇を奪った。


唇を離し、小林を見ると驚いている。



由依「……ぇ……」



理佐「由依ちゃん、もう好きだよ」



初めて下の名前で呼んじゃった。


由依ちゃんの顔を見るとすごく紅潮している。



由依「うそ、ですよね?」



理佐「嘘じゃない。今だってキスしたでしょ?私は小林由依という女の子に恋をしました。もう教師と生徒じゃないよ。」



由依「……ぅ……先生っ、…っ」



理佐「もーう、なんで泣くのさ!ほら由依ちゃんには笑顔が1番だよ?笑って?」


由依「先生が笑ったらっ、……っ、私も笑います!」


理佐「なにそれっ笑」



私は不意に笑顔になった。

すると由依ちゃんまでも笑顔になった。



理佐「ほら、そろそろ帰りな?親御さん達、心配しちゃう」



由依「まだ一緒に……いたいです」
 


理佐「もう、可愛すぎ。はい、これ私の連絡先。帰ったら電話してもいいから、ビデオ通話しよ??」


由依「はい!します!」



理佐「うん笑、じゃ気をつけて帰ってね?」



由依「ありがとうございます。さようなら!」



理佐「さようなら、」



私は由依ちゃんに微笑んだら耳が赤くなっていた。


もう可愛い彼女、


あれ?私告白してないよね!?


でも、キスはしたから、付き合ってるってことでいいよね?まあ、今度言えばいいか。



私は窓から由依ちゃんが微笑みながら帰っていく姿を見守った。



end.