理佐side
何もかもなくなった。
会社で大失敗しみんなに迷惑をかけ、周りから人がいなくなった。ましてや会社内でのいじめも起こった。ターゲットはもちろん私。
私には2年前に事故死した恋人の彼がいた。
だから私、会いに行こうかな。
人は幸せになるために生まれてきたけど私にとっては最悪の人生だ。
まだ20歳なのに…死のうかな。
私は希望を無くしていた。
しかもよりによって今日はハロウィン。
都会にたくさんの人が押し寄せている。
私は人混みの所に通らないように静かな道から遠回りした。
理佐「はぁ…もう無理」
?「お姉さん」
男声がして後ろを向いた。
理佐「うわぁ...!?」
そこに居たのは吸血鬼だった。
あ、仮装か...びっくりした。
声がと顔が事故死した彼に似ている。
?「ため息つくと幸せ逃げていきますよ」
理佐「元々幸せじゃないんで...」
?「じゃあこれから作っていけばいいじゃないですか」
理佐「え、?」
?「trick or treatって言ってください」
発音が...
理佐「と、トリックオーアトリート...?」
彼は微笑み、ポケットから何かを取りだした。
?「これ、受け取ってください」
私が呆然していると、彼は私の手を取り、何かを手のひらに置いた。
理佐「これって...」
そこには私が大好きなお菓子、ハッピーターンだった。
?「お姉さんに、プレゼントです」
理佐「いや、でも...」
そもそも、初めて出会った人にあげるだろうか。
?「吸血鬼って人の血を吸う鬼ですよね」
この人なに言ってるの...?
?「でも僕、吸血鬼は優しいと思うんです。人の血を吸うと同時に、人に幸せをプレゼントする。と、僕は思うんです」
理佐「だから今日...その仮装を?」
?「はい。お姉さんが初めてですよ」
理佐「へ?」
?「僕の気持ちをわかってくれる人」
理佐「そ、そうですか...」
?「はい、じゃあ失礼します。ちゃんと生きてください」
その言葉だけを捨て、私の前から去った。
てか、私が死のうと思っていたこと知っていたのかな...
疑問に思いながら家に帰り、先程貰ったお菓子袋をよく見ると、黒ペンでなにか書かれていた。
それは...
「理佐、あまり無理するなよ」
やっぱり...友梨奈...!
あーあ、私、幻覚まで見るまでおかしくなった。
でも私の手には実物のハッピーターンがある。
いつも友梨奈は私が落ち込んでいる時にハッピーターンをくれ、優しく抱きしめてくれた。
友梨奈っ...会いたいよ...
でもちゃんと生きてって言われたから生きなきゃ。
ありがとう友梨奈。
最高のハロウィンだよ。