型の改変で決断しました | 本部御殿手  如是我聞 如是我見

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琉球王家の一つだった本部家に秘かに伝承された本部御殿手 多聞館のブログです。
ブログは”私はかくの如く聞き、かくの如く見ました”という内容です。

昨年の4月に発足した沖縄本部流空手古武道協会はその前段階の3月に既に幾つかの

創案が準備されており、その中の一つに沖縄空手道連盟の型競技大会に出場できる

県空連認可の本部流の型を定型化するために改変したいというものがありました。


これは各流派に継承されている型で県空連の大会に出場することが出来るということで

本部流からは「ムトディ」 「ジッチン」 「カッシンディ」が登録されていました。


これらは確かに本部御殿手に存在する型ですが、それを型競技で競える型として

つくり直したいという提案だったのです。



私は当初からこの提案には大きな懸念を感じていました。

競技で勝つために伝承されて来た「型」をつくり変えて良いものか? 

という疑問をどうしても拭いされなかったからです。


しかも、このような重大なことを宗家や全国組織の本部御殿手古武術協会に

諮ることなく行うというのはどのように考えても理不尽なことにように思います。


ところが話はどんどん進められ議論が尽くされないまま改変された「ジッチン」が理事会で

披露され、昨年ある市の空手大会の型競技にその改変された型が流派の同意を得ないまま

本部御殿手の型として出場しました。



この「ジッチン」という型はそもそも本部御殿手独特の型で大変特殊な特徴があります。


「ジッチン」は上原先生によって過去に3回演武されていますが首里城の復元を祝った

演武大会の時に私はこのジッチンと深く関わりました。

その件については後日改めていきさつなどを説明したいと思います。



「ジッチン」を使う時は誰でもその場で試合を申し込むことがきるということで

演武する方も挑戦者がでたら直ぐに受けて立たないといけないといわれています。

(上原先生 談)


上原先生によるとジッチンには幾つかのバージョンがあると話しておられて

通常の「型」といわれるものとは違うということが判ります。


また「ジッチン」には特徴があり、必ずある「手」が入っていると話されていました。

それは「貫手」で行われるということでした。そして、拳は使わないとも話しておられました。

その他にも特徴があります。



そして、これらの特徴には理由があるのです。

ところが改変されたジッチンはこれらの特徴が無く

本部御殿手の「ジッチン」とはいい難いものとなっています。



昨年来よりジッチンなどの型の改変などは慎重に行うべきだという意見を沖縄の理事会で

述べてきましたが全く受け入れらず今年の3月3日の県空連大会で改変されたジッチンが

演武されました。



沖縄本部流空手古武道協会の発足と経緯にはその他にも不可解な点があり

その真偽が不明であるうえ、このように伝承されてきた武術の内容を時代に合わせて

改変するということは師に対する大きな背信行為だと私は判断しました。



改変されたジッチンは明らかに本部御殿手の術理にそぐわないと私は思います。