パッキャオ | 名越稔洋オフィシャルブログ「とりあえず乾杯デショ。」by Ameba

パッキャオ

ゴールデンウィーク、みなさんは

いかがお過ごしでしたか?


ずいぶん長い休みだと思ってても

終わってしまえばあっ!という間

ですもんね。

特に何もしなかったって人も多い

んじゃないかな。


俺はテレビ三昧でした。

あとはひたすら映画。

で、例のボクシングの試合を見て

興奮したりしてました。



皆さんは見ましたか?

パッキャオ対メイウェザー戦。



ファイトマネーが二人で250億。

更にPPV売り上げの一部も加算を

されるという史上最高額のギャラ

を記録したプロスポーツの世紀の

一戦でした。

リングサイドチケットがプレミア

ついて2000万だったとか。


パッキャオ、かなり良かったんだ

けどなぁ。メイウェザーのガード

が天才すぎたって感じでしたね。

結果はある意味、ゲバ評どおり。


しかし会場にパッキャオファンが

多くいたのは意外だった。

やはり超前向きなファイティング

スタイルとアメリカンドリームを

体現しているパッキャオは観客も

応援したくなるんでしょう。



しかし勝者はメイウェザー。

かくして48戦無敗の伝説は続く。

それが誰も否定できない結果。



ちなみに俺はパッキャオのファン

です。


なぜならパッキャオの試合を見て

いると毎回、人生というもを考え

させられるから。



パッキャオといえばフィリピンの

極貧の家で生まれ花売りをしつつ

一家の生計の手伝いをして、、、

みたいなエピソードが前に出がち

になる。でもそれは関係ない。

貧乏だから強いわけではない。

確かに根性の原点ではあると思う

けどね。



俺が感じるのはまず彼の身体的な

劣等性を越えた戦い方にある。



パッキャオが今まで制した階級は

なんと6階級。

しかも、中量級でそれを成したと

いうのがすごい。


中量級は体格的にも様々な相手が

存在する、選手層が厚い階級だ。

でもパッキャオはとにかく身長が

低く、かつリーチも短い。

だから彼より高身長で、リーチが

長い相手は、同じ階級にはウジャ

ウジャいた。



では、パッキャオはどうしたか?



彼はとにかく飛び込み続けた。



倒すために、勝つために、相手が

どんな体格だろうと自分のパンチ

が届くまで飛び込んで飛び込んで

飛び込み続けた。



確かに彼のスピードやスタミナは

別格だったという事実もある。


でもそれだけでは倒せない。


だったら無理せず、判定で勝てる

ような戦い方をすればいいんじゃ

ないかって?

そういう考え方もあるだろう。


でもパッキャオにとって、それは

勝ちとは言えないものだった。



彼は勝つ以上にKOしたかった。



自分の生まれつきの体格では最も

無縁で最も危険なKOにこだわって

彼は戦い続けた。

だからパンチが届くよう飛び込み

続けたのだ。



宿命に抗い自分の美学にこだわる

その姿に、人は心を打たれる。



届かないから、やめるのか?


届かないなりに、続けるのか?


届くように、飛び込みのか?



その選択は自分次第だ。



メイウェザーは48戦全勝のうち、

26度ものKO勝ちがある。

KOが大量ということはパンチ力が

破壊的にあるということ。

破竹の連勝ができるということは

防御が完璧だということ。

つまりメイウェザーは、パンチも

ディフェンスも高レベルであわせ

持つ、何百万人に一人の天才的な

ボクサーだ。


しかし6度の敗戦があろうとも、

身体的に平凡なパッキャオという

ボクサーが記録した、38度ものKO

勝ちを俺は評価したい。



パッキャオの体格はラスベガスの

MGMグランドのメインイベントで

世界最高のギャラをもらえる資格

は無かったのかもしれない。

しかし彼は己の美学にこだわり、

そしてそれを実現せんとする勇気

を伴った行動で、その資格を掴み

獲ったのだ。



自分はそこに惚れます。


「勝ちたければ、飛び込め。己に

無いものを嘆くくらいなら」