書籍名:超限戦【21世紀の「新しい戦争」】
著 者:喬良/王湘穂 酒井臣之助(監修) 劉琦(訳)
書籍の概要
1 2001年に」著者が発表した中国戦術論の日本語訳書籍
2 中国共産党の思想を色濃く反映させた戦略理論であり、現代の特性を踏まえて戦勝を期すためには
『全ての限度・境界を越えて戦争を実施する』必要がある。…という論旨。
3 理論の核心は「偏正律≒黄金分割の法則」とあるが、突き詰めると孫子における「奇正」の概念を
現代風にアレンジしたものと思われる。
これをより有効にするために(今までの戦争に含まれなかった)全ての領域(分野)を活用する。
4 本理論における原則
①「全方向度」 ②「リアルタイム性」 ③「有限の目標」 ④「無限の手段」
⑤「非均衡」 ⑥「最小の消耗」 ⑦「多次元の協力」 ⑧「全過程のコントロール」
1 超限戦とは
(1) 定義:全ての限度・境界を越えた戦争 ≒ハイブリット戦(ロシア) (p27)
→ 勝つためには「何でもあり」な考え方は共産イデオロギーとの親和性が高い。
(2) 超限戦における言葉の意味
ァ 「新概念の兵器」:狭義の兵器 (p44)
「兵器の新概念」:広義の兵器(戦争に利用できるモノは全ての兵器)
→ 一見して戦争とは全く関係ない分野でも、敵にダメージを与える
ツールは兵器として認識し積極活用
イ 「慈悲化兵器」 :敵兵(戦闘力)を失わせるが、殺しはしない兵器 (p49)
→ 例:対人地雷(死なない程度に足だけ吹き飛ばす)
↓「慈悲化兵器」≒「非人道兵器」
戦場では死亡者より負傷者のほうが足手まといになる現実
→ 目的は敵の麻痺と兵器(戦力)の破壊
ウ 「情報時代の戦争」:IT(情報)化した兵器による戦争 (p54)
→ 核が必ずしも全ての通常兵器を淘汰できなかったのと同様に
「情報革命(情報戦)」※1も「ゲリラ戦」「大規模殺傷兵器」
※2「テロリオズム」※3の淘汰は不可能。
※1 IT(情報)戦争は湾岸戦争で脚光を浴び、ウクライナ戦争ではドローン兵器等で
戦果を得ている。
→ 情報技術の発達は戦争での利用可能な分野の拡大に大きき貢献している。
※2 中東におけるイスラエルとハマスの戦闘は国家をテロ組織の非対称戦争
→ ITによる戦争の進歩を以てしてもテロの撲滅には至らない。
→ 非国家に対しては従来の戦争様式は効果的とは言い難い。
※3 北朝鮮は核開発を継続し、ウクライナ戦争でロシアを追い詰めれない要因の一つ
に大規模破壊兵器の保有がある。
エ 「技術革新と軍事転用」 (p56)
技術の進歩速度に対応できていない組織が無理をすると自滅する。
→ 例:旧ソ連
→ 「世の中の変化に適応できないモノ」は何であれ(如何なる分野であっても)
消える定め