前回の更新からかなり間が空いてしまった。

既にW杯が終わって時間が経っているので、今年のなでしこリーグについて話をしたいと思う。

今年のレギュラーシリーズ、エキサイティングシリーズの優勝は日テレ・ベレーザだった。
ちょうど時間があったので、駒沢オリンピックスタジアムまで足を運び、優勝の瞬間を見てきた。



レギュラーシリーズで2引き分けと、あまり相性の良くないジェフが相手だったが、試合内容は完勝だった。守るべきところは集中して守り、主導権を握ると、それを終始相手に渡さない横綱相撲。

強くなったなという印象だった。

レギュラーシリーズでは新潟に1敗しただけで、負けがほとんどなかった。得点41がリーグトップなら、失点9はリーグ最少。最強の攻撃力と守備力を備えているのだから、これで優勝しないほうがおかしい。しかも賞賛されるべきは、若手の成長を促しながらのチーム作りを成し遂げて優勝した点にある。

この記事にあるように、キャプテンの岩清水は「若手の成長を待つ」という方針が時間をかけて実を結んだ。いや、岩清水だけではなく、前の監督である野田、寺谷やスタッフが強いベレーザを取り戻すべく頑張った結果だろうと思う。

野田が監督になったころ、ベレーザは壊滅的状況だった。その後、岩渕、永里などが成長してきたものの、この両選手も海外移籍し、チーム作りは振り出しに戻りつつあった。しかし、この時すでに、なでしこカップでINACを破り優勝するなど、復活の片りんは見せてきた。そして、昨年末の皇后杯優勝、今年はリーグ完全制覇だから恐れ入ったというところだ。

ベレーザが優勝した要員は、DFラインがシーズンを通じて、ほとんど変わらなかった点だ。毎回スタメンは同じ選手で固めれられた。清水、岩清水、村松、有吉。テレビで試合を見ていて、「この4人の名前だけはいつも同じだな」と思ったものだ。それが守備の安定を生み、ベレーザ復活の礎となったといってよい。

もちろん若手の成長もある。椛木、長谷川、清水、隅田、中里。メニーナ時代に、全日本女子ユースで京川・仲田・道上を擁する常盤木学園を打ち破った世代だ。無論、素質もある。しかし、その素質を開花させたスタッフのサポートには拍手を送りたい。特に、前監督の寺谷はメニーナのころから彼女らの指導に心血を注いでいたはずである。

そして、ベテランも頑張った。代表の阪口はもちろんだが、個人的には原が良かった。運動量豊富でテクニックもある。彼女が目立たなかった試合はなかったといっても良いのではないか。体は小さいが、体の芯は強く、阪口同様、ベレーザに欠かせない選手である。

そして、忘れてはいけない監督の采配も良かった。監督の
森栄次は星川敬がベレーザを解任された後、チームを建て直し優勝へと導いた。決して大胆というわけではないが、代えるべきところは代えるというメリハリのついた采配だった。また、若い世代の蓄積疲労を気にしていたのか、若手はスタメンに固定しなかった。長谷川、椛木、田中美南にしても、コンディション的には問題なくとも、スタメンではなかった試合もある。豊富な人材を有効に活用して、常にフレッシュな状態にしていたのだろうか。そのおかげで、終盤のINACのような勤続疲労を起こさなかったという見方もできる。優勝インタビューで、「選手は十分そろっているのだから、後はそれを引き出してやるだけでよかった」という彼の言葉は全くの本音であろう。

さて、これから皇后杯があるが、ベレーザの連覇なるか、それともベレーザに土をつけた浦和、新潟を筆頭に、他のチームの巻き返しがあるか注目したいところだ。