内容紹介
後宮の奥深くに、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。
その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、うら若い少女だったと言う者もいた。
彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物探しまで、頼めばなんでも引き受けてくれるという――。
ある夜、時の皇帝・高峻が、烏妃のもとに訪れる。
拾った翡翠の耳飾りに女の幽霊が取り憑いており、その正体を知りたいと言うのだが……。
少年時代、生母を皇太后に殺され、廃太子となって辛酸を舐めた皇帝、高峻。
神に選ばれし者と言われ、皇帝をして「誰も烏妃には命令できない」と言わしめる存在として生きる寿雪。
二人の巡り合わせは、歴史をも覆す「秘密」を暴くことになる……!
白川紺子
表紙:香魚子
2018年4月
集英社 オレンジ文庫
こちらの本は「後宮」キーワードで気になったもの
後宮という文字には
そりゃ恐ろしい嫉妬や殺意がうごめく世界
源氏物語などで学習しているとは思いますが
高校時代に嵌ってから
後宮という文字を見るとちょっと読みたくなるんですよ
これは特殊な設定で
後宮にいるのだけれど
帝の夜伽の相手をしない「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる
そんな話を読みたくて
ずっと考えて
とうとう手にした…
すぐに密林さんで2.3をprimeしたのですよ
うわー
ストライク♡
内容はオレンジ文庫だけに(ライトノベル)恋愛模様は一行か?というくらいで
中学生から読める本だと
ですからこれは娘にも勧めてみようと思っています
あの独特の後宮ものの
女たちのどろどろ~が見られない
その前にアタクシが繰り返し読みたい!
寿雪(烏妃)と高峻(帝)
愛するものをそれぞれ失った
中華+和風歴史ファンタジー
怪奇要素あり、幽霊現象あり、呪術も扱い、怪しい巫女ものとして成立している
身内を殺され、孤独な二人が
あるきっかけからだんだんと近づいていく
その中で生きるものにも
死んでしまったものにも癒されていくというストーリー
帝の高峻も気さくで好感が持てる人物設定
烏妃は今で言うツン美人
帝への口の利き方が上から目線の少女( ´∀` )
帝の側近の衛青が
いちいち烏妃の言葉にイラッと来る様子がおかしい(笑)
言葉遣いや先生の書かれる文章が大人で
後宮の中の学識の有る人が
話をするようなわかりやすく落ち着いた話し言葉を使うので
すらすらと読み進められる物語になっていた
名前がちょっと…漢字になれるまで難しい…が
これはもうそのまま行くしかない
娘娘を【にゃんにゃん】と読み( ´∀` )
烏漣娘娘を【うれんにゃんやん】と読む
妃の名前も後宮の名前も鳥にまつわる名前で
烏妃のそばにいる鳥も星星で【しんしん】
全部ルビがふってあるわけでないので途中読み方も忘れるが
脳内で理解していれば大丈夫(* ´艸`)
出てくる怪奇要素も呪術も壮大なスケールではなく
身の回りのものを使い
掌の中で術をおこして
幽鬼の意味を解く
そして
この世に残した無念を晴らせたら
幽鬼が楽土へ
この世に残っているもの(例えば櫛や耳飾り)に執着する幽鬼姿などは哀しく美しく涙がこぼれた
どの話も心が美しい人物が出てこられて
純粋な気持ちで読める
そうしなくてはならなかった
もの哀しさと
問題解決していく過程での人物像の魅力と
その物語自体の優しさが見えます(4章それぞれのお話がありました)
時代背景が厳しく哀れで
何かあると人を殺して解決するような時代
読んでいて辛い部分があったのですが
次も読みたくなるような
烏妃と帝の物語でした
恋愛要素は
一行ですね
ツン美人の烏妃の
恋をしたことのない
恋をしてはならない
人に情をかけてはならないような人生には
恋で胸がいっぱいよりも
おいしいお菓子でおなかがいっぱいの方がぴったりなのでした
そういう少女文庫コメディー要素もあって
コバルト文庫旧読者にはたまらない内容です!
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