『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(カナダ、2024年)

 

を観た。

レンタルDVD全盛の2003年のカナダ。

カナダの郊外に暮らす高校生ローレンスは、親友マットと週末にテレビ番組を楽しみ、

映画もどきも制作するような映画オタク。

高校卒業後にニューヨーク大学で映画を学ぶことを目標にしているローレンスは、

大学の学費を稼ぐためにレンタルDVDショップでアルバイトをするのだが・・・。

※ネタバレを含みます。

 

2024年に映画ファン界隈で好評だった印象。

 

 

世界はローレンスに意外と優しい!

でも現実に直面して「ケアされて当然の被害者」から抜け出し

相手にも事情があると理解する瞬間を描く。

 

前半は、よく周りの人も愛想をつかさず付き合うな・・というくらいローレンスの言動がめちゃくちゃ。

親友マットのことも自分の都合で振り回すし、映画作りに参加したいと声をかけてくれた女の子にも失礼な態度。

母親は当然に何事にも自分を優先すると思っている。

アルバイト先の人に車で送ってもらってもお礼も言わない。

まぁでも、子どもは最初みんなそう。

子どもは、親や大人に世話されて当たり前の世の中のほうが健全。

それが、学校などのコミュニティで社会の中の一員として過ごすことで他人に気を遣うことを覚えていく。

 

DVDショップのスタッフは高校生のローレンスとも仲良しで、

店長ほかスタッフの親切さは謎。

子どもだから大目に見ているというより、スタッフ2人はローレンスと対等に友達みたいなんだよね。

 

DVDショップはともかく、母親と親友がローレンスに甘いのには理由がある。

その理由が明かされるのが後半で、4年前に・・・という時期が絶妙

半年前に・・とかならまだ傷が深いのも分かるけど、4年前ってけっこう時間が経っているんだよね。

その傷は確かに深いけど、だからってローレンスのしでかしがすべてチャラになるわけでもない。

 

そういえば、わたしの個人的経験とローレンスのトラウマが経験した時期も一致している。

確かにショッキングな出来事ではあるんだけど、何をしても許される切り札ではないよね。

 

わたしも10代の時に、

その傷の話を人にしたことがあるんだけど「親が自殺した人間なんていっぱいいる」って冷たくいわれたけどね!

(いっぱいいるって、その言葉は自殺遺児しか言っちゃいけないであろう言葉で、

あなたはその経験をしていないのによく言うな・・とかなり傷ついたことは覚えてる)

この映画では、その傷に関してローレンスに冷たい言葉を投げかける人はいない。

そのことで4年後もローレンスが苦しんでいることを責める人間がいない展開は、観ていてほっとした。

 

ニューヨーク大学に不合格だったことでローレンスは現実に直面せざるをえなくなるけど、

映画が好きなのはわかるけどどんな方向性で進みたいのかが漠然としすぎているし、受かるはずがないよね。

映画監督になりたいにしても、俳優や演技や映像や演出や劇伴やストーリーや交渉術など、

映画作りのどこに力点を置きたいのかがさっぱり分からない。

なんとなくニューヨーク大学にいけば新しい人生が切り開けるはずだ!と思っているのは良いけど、

努力や対策をしないと受からないよ、と誰か教えてあげて。

 

ローレンスのやらかしのせいでバイトリーダーはクビになったわけですが、

そのことについて申し訳なくも思っていないのが、観ていて悲しくなる。

そこは母親が一歩踏み込んで教えてあげて。

 

旅立つローレンスに店長がいった言葉

「自分が話したいのを我慢するのではなく、相手の話を興味をもって聞いて」というのは良いアドバイス。

 

人の悪口を言う人は嫌われるというのは知っていても、

自分の話ばかりの人は嫌われるということは意外に周知されていない気がする。

 

ローレンスの大学デビューは成功するかな、しないかな。

でも、ケアされて当然の被害者から抜け出し、人間関係を構築できるようになれば、これまでよりは大丈夫。