『オールド』(アメリカ、2021年)

 

を観た。

ある南国の島へ家族旅行で訪れた一家。

妻プリスカが余命宣告を受けており、夫ガイとの離婚も間近という不穏な状況で、

娘マドックスと息子トレントも連れて一家総出で

ホテルの支配人から招待されたプライベートビーチへ赴くのだが・・・。

M・ナイト・シャマラン監督作品。

 

※この作品は全貌を知らずに鑑賞したほうが良いと思うので、注意してください。

下記、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

1時間で2歳老化してしまうプライベートビーチ。

成熟した大人であれば数年の経年の変化には気付きにくいけれど、

子どもの成長は顕著で、一日で幼年期から老衰まで経験するという恐怖はとんでもないな・・・。

 

ビーチからの脱出のために奮闘する謎解きやサスペンスの要素は少なく、

疑心暗鬼になって人間関係の揉め事が勃発したり精神が錯乱して凶行に至るので、

ジャンルとしては極限状態における人間の末路を描くスリラー作品で間違いない。

 

仕掛け人とその動機について

冒頭のシーンでの伏線が終盤に見事に反映されているのが気持ち良い。

ビーチがなぜそのような超常現象が起こっているかは自然の神秘で片付けられているのが潔くて好み。

 

複数の家族を連れていくことで人間同士の殺人や事故などの揉め事が勃発するのは必至だろうしモニタリングの効率が悪いのでは?とか、

薬の効果よりも何よりも急激なスピードで老化することや極限状況におけるストレスが身体に与える影響が一番大きいのでは?とか、

ウェルカムドリンクで投薬を一回飲んだだけだと老化によってすぐに無効化されるのでは?とか、

ガイとプリスカが老衰で死に至る寸前で、夫婦より年上の医者は若々しい体力で襲い掛かってきたけど、老化に個人差があるとはいえ不自然・・・とか、

髪や爪は死んだ細胞だから伸びないという説明があったけど根元は生きた細胞だから伸びるよね・・・とか、

健康な家族まで犠牲になるのは無意味で無慈悲すぎ・・・とか、

PC履歴削除などでホテルに泊まった痕跡を消そうとしてたけど、ホテルではスマホ使えるのでバケーションの様子をSNSに投稿してるケースも多いのでは・・・とか、

あらゆる点でのツッコミどころはあるものの、エンタメ作品としてかなり楽しめた。

 

あとは、肉体年齢と精神年齢の相関性が分かりにくかったな・・・。

子どもたちは幼年期・青年期・中年期で役者が変わるから、

役者の人が年月を経て人生経験の中で培ってきた表情の奥行きや成熟感があるけど、

現実の時間は数時間だから精神は子どものままのはずなのに、

表情にあどけなさが表れていないのが野暮だけど気になる。

 

夫婦が老衰で亡くなる前のやり取りは、

実際に半世紀の年月を共に過ごしたような熟年性があったのは、

肉体年齢と精神年齢は結びついているってことなの?

受け取り方が分からない。

 

いずれにしても、面白い映画。

 

なんと運転手役がシャマラン監督だそうで、たまげた。