ドラマ『十角館の殺人』

 

を観た。

映像化不可能と言われた綾辻行人原作の傑作ミステリの初ドラマ化作品。

 

面白い!

 

この作品、日本における新本格ミステリブームの火付け役としてあまりにも有名で、積読にしていた作品。

ミステリは一定のファン層はいるものの、

それ以上の社会現象的な売上につながるジャンルではない。

にも関わらず、発行部数100万部以上という驚異の作品。

ドラマ化作品を先に観よう、と思って鑑賞。

Hulu独占配信のため、この作品のためだけに入会した。

でも、全然惜しくない。

 

全5話のドラマで、4話が事件。

4話のラストで犯人が分かり、5話が種明かし回答編。

 

わたしは原作未読だったけど、

見事にしっかり騙された!

 

この作品がここまで人気を博しているのは圧倒的な叙述トリックが理由だと思うので、

鑑賞する予定の人は、この先のネタバレを見ずに初鑑賞。もしくは原作を読んでください。

 

※ここから先はネタバレ有りの感想になります。

 

なるほどね。

だから映像化不可能だと言われたのか!と納得するトリックも、

真正面からそのまま挑んでいて、気付かなかった。

 

映像化不可能というのは、巨額の予算がかかりすぎるから、とか

CG技術がどうの、という問題ではない。

 

確かに、冒頭の段階で少し変だなとは思った。

 

この作品の構成は、

事件の謎を追う本土パートと、事件の舞台となる島パートが時間軸そのままで交互に展開していく。

 

明らかに『そして誰もいなくなった』のオマージュと思しき、

孤島でミス研メンバーがそれぞれに殺害されていくストーリーがいわばミステリのメイン。

本土でのコナンくんと島田は、完全なる安全圏にいる人たちの行動なので緊張感もさほどない。

 

作品を担うサスペンス、ミステリの世界観や雰囲気はミス研メンバーが担っているはず。

こんな注目が集まる作品に・・・なぜ長濱ねる以外に、主役級の人がいないのだろう・・・。

それが不思議だった。

長濱ねるは坂道グループの中でも有名だし、『ウソ婚』という2023年のドラマでは主演を張っていた。


 

その違和感こそが、このトリックにつながる鍵。

役者の面が割れていては絶対に成立しない。

 

ミス研メンバーは、

男性5人、女性2人なので女性2人は少ないので目立つ。

でも、男性はエラリイがやたらと大仰な振る舞いをしてキャラが立っているので、

他のメンバーへの集中が薄まっていく。

演出面の狙いがあったのかどうかは知らないけど奏功してるよね、エラリイの存在感は。

 

このストーリーは、それぞれの殺害方法におけるトリックはともかく、

誰が犯人なのか・・・という、その一点の驚きで構成されているところがめちゃくちゃ潔い。

 

殺害のトリックだけでいえば、コーヒーカップのトリックだけで

その他は何でもないような殺害トリックだし。

 

本土パートの俳優陣も素晴らしいよね。

濱田マリさんのお洋服も役も素敵だし、中村つながりの中村トオルが回想でしか出てこないところも、

草刈民代さんの出演も最高。

 

ただ、80年代の家電・調度品が並べられているけど、

どうもその時代の空気感は感じなかったな、とは思う。

でも、設定を現代にすると軽くなりすぎる気もするし、

ミス研メンバーの恥ずかしいくらいの自己陶酔感は、80年代ならではだから、あれでよかったような気もする。

 

それにしても、

コナンくんと島田って実年齢が25歳くらい違うし、

大学生とつるむ大人という構図は小説でよくある設定でも、実写になるとなかなかにインパクトあるよね。

 

今後の館シリーズ実写化にも期待。