『タイタニック』(アメリカ、1997年)

 

を観た。

豪華客船タイタニック号沈没事故から84年後の1996年、トレジャーハンター達は最高級の宝石の手がかりとして、

その首飾りをした女性のデッサンを見つける。

その女性のモデルだと名乗り出た老女・ローズは、かつてのタイタニック号での日々を彼らに話すのだが・・・。

 

言わずと知れた超有名ラブストーリー映画。

 

文句なしに恋愛映画として大傑作。

 

88年生まれのわたしにとって『タイタニック』は初めて体験した洋画フィーバーとでもいうべき

革命的な作品で、田舎育ちで映画館になんて学生の頃には行ったことのなかった私が

金曜ロードショーで何度も目にした作品。

 

小中学生の時以来、ほぼ20年ぶりに鑑賞したけれど、

内容はほとんど鮮明に覚えていた。

 

それでも、子供時代と30代の自分の感傷はまったく違って、

あらためて観た発見もさることながら、あまりにも素晴らしすぎてしばし呆然としてしまった。

 

子どもの時にはまったく感じえなかったこの作品の抜きんでた点について中心に語りたい。

さすがに30年近く前の作品なので、ネタバレしすぎていますので未見の人は注意。

 

 

構成
 

 

この作品は、公開当時の90年代からしても大昔の1910年代だけで描かずに、

トレジャーハンターという、身分違いのラブストーリーとは縁遠いゲンキンな人たちの物語の入れ子構造になっているのが最高。

トレジャーハンターたちは野心に溢れていて若くセクシー。

そして今回の回想劇に同行するローズの孫も野性的でセクシーな美女。

その人達の存在が現代パートできらきら生命力が満ち溢れていつつも、

現代パートでは恋愛模様や特別な人間関係が構築されず、物語はかつての恋物語、

ジャックとローズの話で終始していくのが良い。

 

タイタニック号の話では、ほとんどのストーリーをディティールまでも覚えていたけれど、

緩急が見事すぎる。

序盤は、ジャックとローズの身分違いの運命の出会いと恋が描かれ、それ自体が魅力的だし波乱に満ちている。

タイタニック号沈没にいたる布石がほとんどないに等しく、

いきなりの衝突で急展開に陥って手に汗握る展開が続くのも素晴らしい。

 

子どもの時との違いは、ローズの裸体模写とセックスシーンが衝撃的で

脳裏に焼き付いているけど、意外に大人になってから映画全編を観るとさほどでもなく感じた。

ロマンチックではあったけど。

 

 

再鑑賞して驚愕したのは・・・
 

 

再鑑賞して一番びっくりしたのは、

沈没した際の避難に、「身分に関係なく、女性と子ども」を優先したところ。

 

豪華客船という性質上、階級差をそのまま表すような客室のランクがあり、

ジャックとローズを介してこれほどまでに身分の差が明確な社会であるにも関わらず、

有事の際には騎士道精神で、女性と子どもを優先して生かした、というのは感嘆する。

 

ただお先を譲るのではなく、救命ボートに乗れる人の数は極端に少ないので、

富裕層であっても成人男性であれば後回しになり、生き残る可能性は少ない。

 

家督を継ぐのが男性がほとんどで、

女性が仕事を持つことなんて現代よりもずっとずっと困難なこの時代において、

女性と子どもの命を優先・・・・。

 

この高潔な決断の特殊性に、子どもの頃は気づけなかった。

 

楽団の方たちの信念に心打たれたのは、子どものときでもそうだった。

何度見ても心打たれる。

 

 

 

 

 

物語のラストシーンも大好き。

深い余韻に包まれる。