『哀れなるものたち』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 、2024.01.28
を観た。
天才外科医によって、投身自殺した妊婦の身体にその胎児の脳を移植し、
創造された女性・ベラ。
大人の女性の肉体を持ちながら、世界に出会ったばかりの彼女が行く先は・・・。
ヨルゴス・ランティモス監督の最新作。
R18+も納得の、
性的にもモラルも、保守の枠組みからは完全にはみ出した作品。
レビューをあげるのが非常に遅くなってしまった。
陳腐な作品ではないし、
衣装も映像も美しい作品で観て損をするようなことはないと思うし、
刺激的なのに露悪的すぎないし、間違いなく面白い。
ただ、すべてがベラにとって都合の良いストーリーの運びなので、
ベラがまったく痛い目を見ないし、ベラと関わる人物それぞれはベラに対して非常に誠実。
知性が未発達、学問や教養に触れていない美しい女性は利用されてしまうのが世の常なのに、
ベラが痛い目を見ないのがなんだかなぁと思った。
結果的にベラは知的な女性に成長するが、でも愚かなままでも誰かに大事にされて生きていけそうではあった。
愚かなままでもベラは守られていて、愛されていた。(メイド以外にね!)
自分を守るためにも知識や教養が必要、って人生訓とは全然違う。
この世界はベラに優しすぎるよね。
こうなるのかな、と思って意外にも予想を裏切る展開が何度もあって、そこは新鮮だったな。
(博士が一貫してベラを「恋人」「性愛の対象」として見ないことや、元の身体(魂は母)の夫が現れたその先も)
性的にあらわだし、グロテスクな要素もあるけれど、女性が観て不快になるシーンは少なそう。
変化球のフェミニズムSF映画。
公開記念で六本木蔦屋書店さんで開催されていたポスター展。
原作を購入して、
映画のブックカバーとトートバックを入手した。うれしい。
六本木蔦屋書店さんの、たった一棚しかない海外文学のセレクトが最高すぎるんだよね。
鑑賞後に歩いた六本木の街並み。
綺麗なイルミネーションで、木の幹の下のほうまで電飾がついていて
おおゴージャス、なんて思ったりした。
東京タワーも見える。
肉眼だともっと感動する。なんて東京らしい風景。