『スタンド・バイ・ミー』(アメリカ、1986年)

 

を観た。

作家のゴーディは、かつての友人が刺殺されたという新聞記事を目にし、

彼らとともに過ごした12歳のひと夏の思い出を回想するのだが・・・。

 

名実ともに、圧倒的な大傑作。

青春映画としても"アメリカ映画"としても最高峰。

どの角度から見ても非の打ちどころがない。

 

タイトルがあまりにも有名すぎて

わたしみたいなひねくれものはずっと視聴を避けてきたくらいだし、

子どもが主人公の作品に食指が動かない人がいるかもしれないけれど、

紛れもない別格の傑作なので、まだ観たことがない人はこれからの映画人生の中で絶対に観たほうが良い一本!

 

子どもたちが"死体"を見るために冒険する・・・というストーリーの概要からの予想を裏切るように

多層的で要素が多いのに、徹底的にストーリーが分かりやすいし

89分という時間で収めているところが最も素晴らしい。

 

シンプルであり、でも単純ではない。

このバランスを保つ映画作品は他にないんじゃないかと思ってしまう。

音楽も最高だしね。

 

4人の悪ガキ連中が目的を持って無謀な旅をするのが主眼と思いきやそうではなくて、

スネに傷持つ彼らの中で、あるタイミングから

視点人物ゴーディのかけがえのない友人クリスとの2人の物語が開かれていく構成は素晴らしい。

 

クリスの言葉のひとつひとつが突き刺さる。

粗野でどうしようもないガキ大将と目されていながら、実は賢いクリスの芯を食った発言や、

自分たちはダメだけどゴーディには約束された作家としての未来が待ってると背中を押す姿、

そして理解者で家庭内スターの兄を失ったゴーディもまた、

クリスに道を示すという展開も素晴らしい。

 

水を差すようにやってきた暴力的な連中に対する2人の姿、

単なる馴れ合いではない、あの瞬間だけに感じた子どもらしいむき出しの信頼は

あの街にあの時、12歳で暮らした2人だけが持ちえたもの。

 

この壮大な冒険を終えて、4人組は道が分かれて自然に疎遠になっていったという

青春のビターな側面もとっても良い。

 

だだっ広い道が続く車社会、

どんなに劣悪な田舎でもアメリカンドリームのような一つのきっかけを誰もが手にするかもしれないという感覚、

若者こそが主人公というアメリカ映画の解放感も感じる。

 

過ぎてしまった思い出を、

あの時の助言のまま作家として大成した主人公が綴る、ラストの一文も痺れる。

そこから、ベン・E・キングが歌う主題歌『スタンド・バイ・ミー』が流れるのは鳥肌もの。

 

そしてクリス役のリバー・フェニックス。

彼は伝説だし、この作品は永遠だ。

 

最高。

 

 

 

音楽がとてもよくって、

わたしの通っていたあの店は、この作品のサウンドトラックを流していたんだって、

わたし15年経って初めて気づいた。