佐藤愛子、田辺聖子『男の背中、女のお尻』

 

を読んだ。

 

1970年代のお二人の対談集。

男女のあれやこれやについて、忌憚なく語っておられる。

 

2023年現在からすると実に50年前の対談で、男女観が世間ではすっかり変わったものの、

お二人のお話はこの当時から見ればずいぶん先進的だし切り込んでいる内容に思える。

 

歯切れの良さやパワフルな姿勢は、当時50歳前後のお二人にもちろん健在で、読んでいて胸がすく。

 

歯に衣着せぬも、そこは懐の深さや

ダメなところを「かわいげ」に置き換えるような器の大きさは魅力的だなぁ。

 

冒頭の、男性に「もののあわれ」を感じるって評価なんか味わい深い。

 

男性作家たちの容貌や色気を評価する中山あい子さんを交えた匿名座談会、

関西出身という共通点をもつ野坂昭如との鼎談や、

筒井康隆が田辺聖子さんを、川上宗薫が佐藤愛子さんを描く未来予想図も収録されている。

 

現代の価値観からすれば、セクハラとも捉えられるような発言も、

当時の文學の価値観を事実としてそのまま知らしめているという意味では、

変に言い換えを行わないのも好感が持てる。

 

盟友のお二人が、実は田辺聖子さんのほうが5歳年上だということは初めて知った。

そんなの関係なく、言いたいことを言い合える関係って素敵だ。