佐野洋子『今日でなくてもいい』

 

を読んだ。

 

子ども時代の記憶から晩年の死生観まで綴ったエッセイ集。 

 

ご兄弟やご両親など身近な人の死の経験も語られてるけれど、

佐野洋子さん独特の素直な受け止め方に読んでいてハッとさせられる。 

エモーショナルでないのに、鋭く心に突き刺さる。

 

子どもの頃の記憶や、自分も含めた誰かの言動も、

語られることはすべて美化されておらず、

ぜんぶむき出しだしなのに、全然嫌にならない。

漂白も消毒もされてない、佐野洋子さんだけの言葉はやっぱり魅力的だなぁ。 

 

けっして良い人って感じはしないのに、

あっけらかんとした伸びやかな感性に癒される。

 「こんがらがったまま、墓の中まで」が一番好きかな。