6月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1345
ナイス数:38
6月は7冊。
ジャンルや読み味はそれぞれだけど、
西加奈子さんの『くもをさがす』はパワフルに祝福された一冊だったなぁ。
増井敏克『iPhone1台で学ぶプログラミング 日常の問題を解決しながら、論理的思考を身に付ける本』
iPhone操作をラクにしてくれるプログラミング手法術。
まったく難しくなく、iPhone/iPadの操作画面をキャプチャで紹介されながらサクサク進んでいく構成。
プログラミングに親しみを持ってもらうための一歩となるような一冊だなぁ。
読了日:06月30日
西加奈子『くもをさがす』
カナダでがんになった西さんが、この「わたし」に向けて放つ言葉たち。
一般的な闘病記とは一線を画す、自分を見つけながら他者の愛に包まれるような体験が描かれている。
西さんの感じ方や文章は、むきだしでパワフルなのに、繊細。
生きることの切実さや、誰かへの感謝や慈しみを読者一人一人にしっかり伝えたいという強い意志と気迫を感じる。
読んでいると、なぜかわたしの人生まで祝福されているような気がする。
西さんは、わたしの知らない美しいものを知ってる人だ。
受け取った。
美しい瞬間を分けてくれてありがとう。
読了日:06月21日
小川洋子、福住一義『小川洋子の「言葉の標本」』
小川洋子さんの言葉や作品世界そのものを「標本」にして封じ込めてしまおうという書籍企画。
この企画は、小川さんでしか成立しない試みだなぁ。
なんて退廃的で甘美なんだろう。
初期作品から2010年頃までの作品が標本対象になっている。
特に初期作品は、異界/魔界/あちら側に密かに繋がっているような死の匂いがする神秘的な作品が多く、
ちゃんと封じ込めてしまわないと目を話した隙に消失してしまうような不安定で繊細な物語が目立つから、
こうして標本にしてもらえたらずっと大切に保管しておける。
読了日:06月13日
銀河 『発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ』
発達障害の当事者にとってはストレスなく呵責なく読み進められるフリーランスのすすめかと思う。
発達障害の人視点でのメリット享受の項目もあり、当事者にとってはかなり役立ちそう。
フリーランスといっても仕事の選び方はそれぞれなので、マインドセットの話が多い。
ただ、些末なことかもしれないけど、
発達障害でない人でもコミュニケーションに苦労して努力して改善策を探すケースもあるわけだし、
発達障害でない人のことを「普通の人」と区別するような考え方は好みではないなぁ。
読了日:06月11日
月山もも『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』
ひとりで楽しむワンダーへの背中を押してくれる一冊。
会話に気を取られず、美酒や温泉に酔いしれ、体験をひとりじめして堪能する。
実に良いなぁ。
ひとりの冒険が好きな私は、著者の視点に大いに共感しちゃう。
ブログとは重複しない素敵な体験記が連なる中で、特に好ましかったのは「おわりに」。
「山形」と聞いて連想される出身外エリアのことを、
言葉も文化も違うから別の県みたいなもの、と今までは縁遠く捉えていたけど、
旅好きになってからは詳しくなって山形の魅力を人に伝えられるようになったという記述が、心に残った。
この感覚はよく分かるし、救いに感じる。
わたしも兵庫県の但馬地方出身で、言葉も文化も物理的な距離も他県レベルの神戸のことなんか何一つ分からなかった頃の経験と重なるし、兵庫県出身=神戸と連想された時の反応が難しいことを、わかってくれる人が
旅によって乗り越えた姿に妙なカタルシスを覚えた。
ひとり旅いいなぁ。わたしは次、どこへ行こう。
読了日:06月09日 著者:
エドワード・ゴーリー、柴田元幸訳『蒼い時』
ゴーリー展の会場で手に取った。
英語でいうところの「the Blue Hour」はしばしば「黄昏時」と訳される、という翻訳者・柴田元幸さんの解説がある。
黄昏時とも訳せるのに、タイトルを『蒼い時』にしているのが好ましいし、
英語と日本語訳を右左に並べたときの、日本語訳がとっても洒落てる。
シレッとのんびりウィットに富んだ会話をする二匹。 なぜだか癒される。
ゴーリー作品は、白と黒のモノクロ構成が多いけど、この作品はパキッとした青に包まれて、なんだか贅沢に思う。
読了日:06月07日
『映画を撮った35の言葉たち』
映画史を飾る35人の映画監督たちの言葉集。
特にチャップリン「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」(p.18)と、
小津安二郎「なんでもないことは流行に従う、重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。」(p.82)が特に好き。
やっぱり、作品で大勢を納得させる人たちは、芯のある言葉を持ってる。
読了日:06月01日