『怪盗クイーンはサーカスがお好き』(日本、2022年)
を観た。
「怪盗の美学」に沿って犯行を行う怪盗クイーン。
新たなターゲットをあるサーカス団に横取りされたクイーンは、
奪還すべく敵地へ乗り込むのだが・・・。
はやみねかおるの同名児童文庫のアニメ化作品。
わたしが本を好きになったのは間違いなくはやみねかおるさんのおかげだし、
わたしにとっても、わたし以外の30代の本好きにとっても
はやみねかおるさんは、読書の楽しさを最初に教えてくれた特別な存在だと思う。
ほかにその当時は熱心に読んだ児童文学があったとしても、
はやみねかおるさんは別格で、30代になった今でも怪盗クイーンのシリーズを読んでいる。
比較的早く大人の文学に手を出したほうだと思うけど、
はやみねさんの作品からは離れられない。
怪盗クイーンはもともと、
はやみねかおるさんの代表作・夢水清志郎シリーズにおける
探偵・夢水のライバルとして『いつも心に好奇心!』に初登場した時からずっと好き。
この作品で現在の仲間のRDとも出会うし、
夢水清志郎シリーズでは『魔女の隠れ里』の次にこの作品が好き。
別の作家を引用するのも良くないけど、
森博嗣『すべてがFになる』のような理系ミステリの雰囲気がグッとくるし、
人工知能のRDのエピソードが好きでたまらない。
はやみねかおるさんは作家としての確固たるテーマがあって、
その軸の強さと作品のエンタメ性がうまく溶け合っているところが魅力的だと思う。
通底したテーマー子どもに夢を与える・子どもが苦しまない世界ーは、
怪盗クイーン第一作目である今回の映画化作品『怪盗クイーンはサーカスがお好き』でも共通している。
映画の話に戻ると、
原作を読んだのはもう10年以上前だし、ところどころ忘れていた状態で鑑賞。
58分という上映時間は子どもの集中力にはちょうど良いのだろうし、
一番印象的だったのは、クイーンの髪の艶やかなキューティクル。優雅だった。
あと、まさかまさかのファンサービスか、
RDの擬人化(人間であるならばの青年の姿)が見られたのはサプライズだったなぁ。
怪盗クイーンシリーズを子どもの頃に読んだ世代はもう親世代になっていて、
今でも読み継がれているこのシリーズを親子で堪能するのが向いている感じがする。