6月は漫画をよく読んだので、二編に分ける。
とにかく『白山と三田さん』がめっちゃくちゃ良いんだ!!!
『フールナイト』6巻
偽文書をダシにして敵を白日の下にさらす・・・という作戦のもと、
拉致されたり暴行されたり監禁されたりしながら一巻分・・・。
ストーリーの進行としては歩みを留めているけど、
アクション・暴力性に焦点が当たった一巻だった。
んー。
女性登場人物であるヨミコと叶野の髪型が同じなので、
ヨミコパートとアキラパートが交差する場面では、どちらの話なのか一瞬混同した。
考えてみれば、ショートボブで襟足は束感のあるカールヘアって、
主人公のトーシローも白抜きではあるけど同じ髪型・・・。
作者の人が好きな髪型なのかな。
『子供はわかってあげない』上下巻
名作・・・!
田島列島先生の才能にはひれ伏すしかないんだって、分かっちゃった。
たいへん入り組んだサクタさんともじくんのボーイミーツガール。
一筋縄じゃいかないけど、
作品の根底、登場人物の心の底は、シンプルで澄み切っている。
全体のストーリーには影響しない細部のエピソードも素晴らしいし、
この盛りだくさんな内容を上下巻で余すことなく不足なく構成されているのもすごい。
絵柄のテイストや全体の雰囲気のゆるさ、散りばめられた良い意味でしょうもないギャグと、
ストーリーを引っ張るパンチライン炸裂のセリフとのアンバランスの妙、何もかもが天才の所業。
シリアスな題材を、ポップに装いつつも、
人間ドラマをぐっと引き締め、押しつけがましくないやり方で、ちゃんと答えを示してくれる。
この作品における答えは、
『世界に必要なのは----「誰かから渡されたバトンを次の誰かに渡すこと」だけ』(下巻 p.104)だとわたしは受け取った。
下巻 p.69にもすんごいパンチラインあるよね。
こんなんスルッと口から出てくる人、好きにならないの不可避だよなぁ。
田島列島先生にしか開けられない風穴から爽やかな青春の息吹を感じるなぁ。
あ~、最高。生きてるとこんな素晴らしい漫画が読める。
しあわせ。
田島列島先生には一生ついていく。
『火の鳥 未来編』
人類が地下都市で暮らすようになった未来。
電子頭脳の言いなりで意思決定をすることで人間たちは生き延びてるらしいけど、
これは皮肉だなぁ。
女性の姿をした宇宙人・タマミとムーピーゲームで陶酔状態になっていただけなのに、
あれよあれよと・・・。
マサトは罪人のごとく永遠の命を生きるようになるけど、
すべては火の鳥の思し召しで人類の再興を見守る役割を一人に割り当てるのなら、
猿田博士のほうが一人遊びも得意だし科学知識にも長けてて、向いているような気がするなぁ。
黎明編は一巡した世界での出来事だったのかな、今後もシリーズで流転し続けそうな予感。
少し前に『三体』を読んだから、滅んでは栄えていく過程は、ゲーム「三体」を少し連想してしまった。
永遠の命があっても肉体は歳を取るんなら、数百年から先は身体の不調に悩み続ける毎日になりそうで、
なんて酷なことをするのかな火の鳥。
お次はどうなる。
『白山と三田さん』1巻
めちゃくちゃ面白い!!!
ラブラブしていない最高のラブコメ!!!
「はじっこ」にいる人たちの恋愛・・・という題材で、シュールなんだけど主人公二人が魅力的。
白山はナチュラルに内気な少年だけど親切心があって実は真っ直ぐな性格だし、
三田さんは狭くて深い・・・かと思いきやあらゆる関心・趣味があって広くて深い。
白山と三田さんだと、三田さんのほうが趣味人でマニアックだし、何でも器用にこなす超人。
白山は自分事デビュー前夜というか、東京で暮らすことが夢でその目的のためにバイトでお金を貯めている状態。
変人度合いでいうと三田さんのほうが変で、白山は内気な少年というくらいなんだけど、
白山は独特の寛大さが持ち味で、三田さんがいきなり待ち合わせ場所でライフル構えてようが動じない。
白山の長所、三田さんの魅力の掛け合いがすごく良い!!!!!!
『白山と三田さん』2巻
白山家の人々と、三田家の人々、三田さんのお友達も登場し、
白山と三田さんが東京へ旅行する話がメイン。
1話毎の起承転結も最高だし、それでいてちゃんとストーリーが進んでいて濃密。
一冊の満足度が凄いなぁ。
ひょんなことから付き合うことになった風変わりな二人だけど、
ちゃんと好き同士になっていって着実に信頼関係が深まっているのが良いなぁ。
『白山と三田さん』3巻
三田さんは廃墟までお好きなようで。
二人のやり方で・・・ちゃんとラブストーリーになっていて最高。
それでいて3巻では心に響く白山の良いシーンがあった。
デリカシーがないというかアスペ傾向の島という新キャラが、
自分は無意識に人をイラつかせる、という話をしたときに
「でしょうね。」(p.160)
「でも正直なところが伝わってくるので、 僕は嫌いじゃないですけどね。」(p.161)
という台詞を本心から口にできるのは白山の魅力。
クラスでは浮いてるけど、実は誰とでも付き合えるところが白山の良さなんだよなぁ。
『白山と三田さん』4巻
文化祭話も、秘密のらっきょう差し入れも・・・全部良い!!!!
今一番推せるカップル。
は~、次の巻を読むのが待ちきれない。
『光が死んだ夏』1巻
続刊を読むために再読。
新感覚ジャパニーズホラーの触れ込みにたがわない、
今までに体験したことがない読み心地。
『光が死んだ夏』2巻
そうか・・・光の死体を見てたのか・・・。
どうやら村の秘密がありそうだけど、大人と専門家の介入でなんとかなるのか。
『光が死んだ夏』3巻
まさかの霊感でヒカルの存在に気付いた朝子。
ブロマンス感も増すし、男女の幼馴染グループで仲が良すぎる感じも田舎の光景で、
昔を思い出す。
『ブルーピリオド』4巻
いよいよ東京藝術大学の試験。
筆記試験が終わり、一次試験終了までが4巻。
八虎の周りを見る力や、他責感情の無さは高校生とは思えない・・・。
精神的に追い詰められた試験本番で自画像描くための鏡割られたら、怪我の功名はあったとしても
多少は恨むって・・・。
心ではなく、身体に影響が出ているというのが八虎らしいし、
試験会場で母のお弁当をつまみながら、お守り見てホロリとなっているところは
素直で健全で、いいなぁ。
『ブルーピリオド』5巻
一次試験と二次試験の間。
ユカちゃん回。
ユカちゃんはトランスヴェスタイトでバイセクシャルなのかな。
あるいはトランスジェンダーでバイセクシャルかもしれないけど、クィアだなぁ。
ユカちゃんを描くのは素晴らしいけど、
八虎との関係が漫画的に感じるし、
この展開に持ち込みたいがための八虎とユカちゃんの関係性が不自然なんだよね・・・。
八虎にとってユカちゃんは美術の道に連れて行ってくれた存在なのは分かるけど、
ユカちゃんにとって八虎の存在がかなり大きいのがよく分からなくて、
普段つるんでいるわけでもない高校からのクラスメートなんだよね?
幼馴染とかなら分かるんだけど、離れてるのに妙に近い。
ヨタスケくんや不良仲間との関係性やエピソードにはまったく違和感がないけど、
ユカちゃんのエピソードだけ救世主・八虎との絡みが変で、
ユカちゃんを描きたい、という気持ちがストーリーに先行してて人間同士の関係性とストーリーがちょっと噛み合ってない感じがする。
良い台詞が浮いてる感じがするんだよなぁ・・・。
わたしはトランスヴェスタイトを卒論テーマにしているし、
この手のテーマに関心があるから妙に気になるだけかな・・・。
さて、二次試験。
八虎はいかに。次巻で受験は決着する。
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