『ようきなやつら』1巻

ようきなやつら、というかはみ出し者のやつらの話。

あんまり陽気に見えない、社会派な妖怪譚の短編集。

後半にいくにつれてどんどんシリアスになっていく。

性的な内容も含んでいるので、大人向けな感じがする。

マイノリティの痛みを、妖怪の姿で感じる作品。

この中ではサトリ君の話が一番好き。

サトリ君の作品に出てくる先生が『女の園の星』の星先生みたいでジワジワくる。

 

『サンダー3』 1巻

すごい!!!!

こんな漫画見たことない!!!!

こんな漫画見たことないってわたしは思ったけど、

『GANTS』のオマージュだと巷では話題になっているみたいだなぁ。

断片的なオマージュのかけ合わせが凄い!!!

マルチバース空間への侵入、最強スペックで世界に降臨、という現代風のギミックと、

オリジナルぴょんたろうたちの三頭身アニメデフォルメがテレビモニターを入り口に別の世界に侵入するという

極めて古めかしい構図が素晴らしい。

わー、三頭身アニメの主人公たちが3G風のリアルでグロテスクで写実的な現実へ移動するんだけれど、

ちょっと味が複雑になった鮭の味以外は実のところ変わらない世界で、自分のリアル版も平然と生きてる。

ただ、宇宙人が街に蔓延っているという現象が大きく違う、というのがとても良くて、

こんな無力そうなアニメ画風そのままのオリジナル3人が、マルチバース世界ではスーパーマンで、

おどろおどろしい宇宙人よりも圧倒的な破壊力があるという意外性も最高。

サンダー3よ、不当な暴力をかざす人はみんな、やっつけちゃって。

 

『ホテル・メッツァペウラへようこそ』3巻

フィンランド・ラップランド地方の雪深い場所にあるホテルの話。

ジュンの背中の立派な和彫に偏見をもつお客さんがとうとう現れるけど、

ヨーロッパでは北野映画も有名だと思うし、

色眼鏡を持たれそうな感じかなぁとか思うよね。

ジュンへの偏見お兄さんと、クリスマスのエピソードで3巻が構成されている。

今では老紳士となったホテルマン二人は、

何も言わずに若者を見守っているというのも良い。

BLでは全然なくて、シスターフッドならぬブラザーフッドのような、

血縁関係や師弟関係とも違う、温かな身内愛みたいなものが描かれている。

 

『HUNTER×HUNTER』37巻
久しぶりの新作でも期待をまったく裏切らない質と、物語の奥行と射程の広さ。

唯一無二。

カキンの流儀、殉葬"死後伴侶"という土着の文化や身分制度、

王位継承システムなどのリアリティある細かな設定、王子たちの攻防戦も何もかもが濃密。

小説かと思うくらい、びっしりと文字が書き込まれている頁があった。これぞ。

ジョジョの「キングクリムゾン」みたいな念をあの場面で発動させるのは反則だよなぁ。

王族は制約と誓約を負わなくて良いのかな、って思ったりした。

そういやクラピカの師匠もブラックホエールに乗ってた!と思い出した。

 

『天幕のジャードゥーガル』1巻

発表されたばかりの「このマンガがすごい!2023 オンナ編 第1位」に輝いた作品。

栄華を極めたモンゴル帝国の中で、奴隷出身かつ女性でありながら地位を築いたファーティマの物語。

勉強こそが身を助ける、という強いメッセージを放つ作品。

既刊1巻で、物語はまだ始まったばかり。

これから彼女がどうやって奮闘し、躍進していくのか楽しみだなぁ。

 

『スキップとローファー』5巻

美月とまことの友情譚が中心かなぁ。

まことの苦しみもよく分かる。

漫画的表現として、眼鏡をはずして化粧をしたまことが美人になっていないのが良い。

客観的には彼女の見た目はそうだとしても、

彼女をよく知る人物たちには、きらきら輝いて見えるってのも良い。

 

『スキップとローファー』6巻

コンプレックスの塊の、江頭ミカの苦しみが炸裂する巻。

思春期のどうしようもない劣等感と、脛に持つ傷を描き切るし、

ミカがその苦しみによって自分もまた嫌な奴に成り下がっているということも分かってる。

苦しい。

それでもやっぱさ、みつみが救ってくれるんだよね。

トンチンカンなのに周りが見えてるみつみに、ナオちゃんも救われる過去の回もある。

ほんとうに、この物語の高校生たちの、気遣いや思いやりはすごいよ。

 

『ジーンブライド』1巻

「このマンガがすごい2023 オンナ編 第2位」という話題性から、手に取った。

うーん。

「フェミニズム」や女性のヴァルネラビリティ?という

メッセージ性は素晴らしいし、絵も直筆の文字も超上手いんだけど、

話が意味不明…。

分かるようで分からない展開、主人公の怒りはよく分かるんだけど、ストーリーのために人物が動かされてるみたいに思える。 主人公の怒りだけがリアル。

正木という突如現れる元同級生の男性の言動も距離感も実存性も何もかもが意味不明というか、

リアリティが何一つないムーブをいちいちかますし、訳が分からない。

彼は普段何をしているどんな人なのか、現実を生きている人とは思えないほど、

物語の都合の良い瞬間にばかり現れる。

ASD傾向がある男性という解説があるけど、コミュニケーションの個性というより、

物語を動かすキーパーソンとして全能的に登場している感が強すぎる。

直筆フェチなので、書道っぽさはなく我流系で異常なまでに著者の字が上手いところは最高だなって思う。

 

『ジーンブライド』2巻

女性が味わう、性的視点に晒されることの苦しみの描写には、心をかき乱される。

題材はすごく良いし、全力で支持させていただきたい気持ちはあるんだけど、

ストーリーが進むようで進まないし、よく分からない。

続きは、漫画が完結してから読もうかな。