『ユージュアル・サスペクツ』(アメリカ、1995年)
を観た。
でっちあげ容疑で捕まったことで面識ができた、犯罪歴のあるいつもの5人。
チームとなった彼らが引き起こした事件で唯一の生き残りである間抜けな詐欺師ヴァーバル・キントは、
コトの始まり、チームの中心的人物キートンとのエピソード、
彼らを引き合わせた黒幕カイザー・ソゼの存在について刑事クイヤンに警察署で語るのだが・・・。
ネタバレなしで観ないと楽しめない映画。
以下、ネタバレします。
フィルムノワールというよりサスペンス映画で、
黒幕のカイザー・ソゼはいったい誰なのか、
刑事はキートンに強い疑いをかけつつヴァーバルの記憶を辿るストーリー構成が見事。
フィルムノワールによくある
アウトローの無鉄砲さや、大胆で緻密な戦略性、
疑心暗鬼で暴走しがちな内部の人間関係、派手なアクションといった要素よりも、
黒幕は誰なのか、という一点のみに観る側の視点が固定されているのが良い。
刑事クイヤンはかたくなにキートンを疑うけれど、
冒頭でキートンの死亡はほぼ確定していると思うし、仲間も撃たれて倒れていた。
観る側も、搾取される側だったキートンを冒頭で確認しているから、
いまいち刑事の誘導にも乗れないと思うし、
そうなると、残る候補は3人くらいしかいないよね。
コバヤシが黒幕だと捻りがなさすぎだから除外して、
刑事クイヤンかキートンのパートナーで弁護士のイーディ、そしてヴァーバル。
終盤10分の畳みかけが見事。
キートンめ!と彼の逮捕に使命感を燃やす刑事クイヤンが熱意を燃やす瞬間、
尋問を行っていたデスクの壁に目をやるシーン、
パズルのピースが突如として集結して一気に嵌っていくようなカタルシスはたまらない。
尋問を行った部屋は刑事クイヤンの執務室なんだろうし、
普段目にして手にしているパーツをでっちあげストーリーに盛り込んだ大胆不敵さは、
伝説の大物といわれるだけある、と小気味良い。
どこまでが本当で、どこから嘘なの。
間抜けのフリして、ゆるりとワルも刑事も手の平で転がす。
痛快。
すたすたと歩くヴァーバルを迎えにきたのがコバヤシではなく、
キートンでも良かったかな、と思ったりする。
キートン=コバヤシで、彼も生きてたとか、作り話の虚構と現実がもっと曖昧でも良かったかも。
うっかりとあらすじをチェックしておかなくて良かった作品。