引越前なので、まとめて拝読。
やっぱり、小野塚さんの作品が好きだ。
『そどむ』上巻
里香子は天真爛漫というか無神経で、
一切相手のことを考えていなくて、
葉二とのコミュニケーションも破綻しているのに、
愛しているだの何だのとほざけるのは体を重ねてるからなんだろうな。
性的に気に入って繋がってるだけやん。
人格と人格の結びつきなんて一切ない。
小野塚作品でありがちな、20歳そこそこなら男性は大人で、
女の子は感情の権化というか呆れるほど無防備なのに、
それなりにマトモな男性に相手にされるのは顔が可愛いという理由のみ。
そうかね。そりゃ上手くいくんかもしれんが、アホすぎて苦しい。
地雷というのも生ぬるいくらいの社会性の欠如。
里香子がアホで周りを傷つけるだけの上巻。
『そどむ』下巻
葉二以外の男とも寝れるのかなって、
はずみで寝たのが親友の彼氏という最低な里香子の言動は、人間不信になるレベル。
ごめんね、なんて気軽に言っちゃいけないし、
いくら美味しそうでも食べたら毒が回るんだよ、友達のパートナーとか既婚者は。
一人の人間を心から傷つけて一生呪われてもいいって恋でないと、手を出しちゃいけないよ、そんな相手。
かのこも葉二も良い人で、
多少里香子が逞しくなってもお子ちゃまだもんな。
知花ちゃんの孤独も、
実の母から性的虐待と依存を受け、大好きな元恋人に自殺された20歳の青年って生い立ちの葉二はさ、
里香子なんかじゃなくてもっとちゃんとした女の人にほぐされて欲しいと思っちゃう。30代になったわたしはね。
『ゆびのわものがたり』2巻。
珠玉の短編集。ゆびのわは2巻が好き。
特に、イメクラ女子大生の話がお気に入り。
散々ためして「君は綺麗な子だから 誰も忘れないよ」って清潔な言葉を
絶妙な距離感で頂くのはたまらんよね。
キナちゃんは夜の顔、西澤は昼の顔で、てんで別で接してるんだよね。
どんなに鈍くても、気づいてるに決まってるやん。やんごとなきエロス。
『楽園の南』
黒崎が大人だよな・・・。
進学校らしいし、入ったはいいけど落ちこぼれてしまった風味のりさちんの虚言癖と
誰とでも寝てしまう精神状態が辛い。
『愛い奴』
この作品は20年前に描かれたものだというんだから恐れ入る。
初めて読んだ中学生当時、女性同士の恋愛・・・すごいな・・・とただただ驚愕した記憶がある。
実際、夜の街で女性と出会って交際するようになっても、
この作品のインパクトは色あせない。
海老原は存在がコンプラ違反。しかも性犯罪者。
うれ葉に対しても、さをりに対しても。それで教職なんだから、手玉にとっちゃえ毬谷くん。
ここまでデリカシーがないと、昨今の社会では生きていけないよ。
うれ葉とさをりがもうちょっと、等身大に恋愛できる時間があれば良かったな、と思う。
この作品では、海老原のモラハラから救ってくれた救世主なだけに思えるもん。
『ロールスロイスラジオ』
ああもう!ブンガクな短編集。
表題作の寂寥感と救いが入り混じった若者特有の焦燥感にヒリヒリさせられるけれど、
やっぱり「飯事」が秀逸。
大正から昭和初期にかけての湿っぽいエロティシズムと、安っちい真実のコントラストが素晴らしい。
これもやんごとなきエロス。
『品川心中』
落語原案の短編集。
いろっぽい日本髪と和装も見事。
「紺屋高尾」は一目惚れが起こした奇跡。