『昼顔』(フランス、1967年)
を観た。
パリに暮らす若妻・セブリーヌは、医師である夫・ピエールと幸せに暮らしていた。
夫の愛を一身に受け、夫を愛しながらも、マゾヒスティックな欲望に突き動かされたセブリーヌは
娼館で「昼顔」と名乗って働くのだが・・・。
ルイス・ブニュエル監督作品。
「昼顔」といえばこの作品から着想を得た
上戸彩主演のドラマ「昼顔」が思い出されるけれど、
今作は日本版ドラマのような不倫ドラマじゃない。
ギョッとするような冒頭のシーンはセブリーヌの夢だと分かって、少し安堵する。
彼女の妄想ではいつも森の中や草原、都会のパリとは異なるどこかが舞台で、
裸にむかれて縛られたり虐げられたりしている。
その物語の勝者はいつも夫ピエールで、
彼女を直接的に虐げる人物たちは、セブリーヌの興奮材料になっているに過ぎない。
セブリーヌを演じるカトリーヌ・ドヌーヴは身体は細いけれど
顔立ちががっしりとしていてあどけなさがなく、若妻にまったく見えない。
夫のピエールは裕福かつ若い美男でセブリーヌを愛しているし、
これ以上ないほどお似合いの二人に見える。
セブリーヌは見た目も気品があるし、
寡黙で慎ましやかに見えるのに大胆で、そりゃあ人気が出るだろう。
娼館の女主人も知的で洗練されているし、お客のもてなしも完璧。
上品で気立ての良い子しか雇わないと言いながら、
同僚は悪くはないにしても、
セブリーヌほど上質な雰囲気のある娼婦はいない。
社会的地位の高そうな客たちのそれぞれの欲望が登場し、
露骨な性的シーンはないのが想像を掻き立ててくれていいね。
刺激的なのに上品。
セブリーヌの運のツキは、娼館の客が社会的地位のある紳士ばかりでなかったこと。
夫のピエールが不憫でならない。
娼館を教えた知人・ユッソンが、夫のピエールと面会した後の光景は、
セブリーヌの見た夢なんだろうな。
全身マヒの患者がいきなり全快するわけもなし。
窓からはいつもの妄想の森と馬車が見えるしね。
予想外の不貞の代償がなんとも後味悪い。
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