『仕立て屋の恋』(フランス、1989年)

 

を観た。

世間から疎まれている仕立屋の中年男性は、

向かいの部屋の美女・アリスを窓越しに眺めるのが習慣であり、

やがて彼女にも覗きを見破られるのだが・・・。

 

10年以上ぶりに鑑賞した作品。

前回観たのは学生時代か10代の頃で、

この作品と『髪結いの亭主』で一気にルコント作品の虜になってしまったのだった。

映画好きになったのもルコント作品が切欠。

 

この良質な作品がなんと、アマゾンプライムで公開される時代になって再鑑賞。

良きことだね。

 

ディティールは覚えているのに、内容は忘れている部分もあって

ああこんな悲痛な帰結かと、あらためてしんみりした。

 

気難しそうな中年男性の真剣でねじくれた愛情も、

若さゆえの軽薄でポップでストレートな恋愛感情には勝てなかった?

そらそうだろう。

最初っから、きっと利用しようと近づいたんだろうけれど、

それでも構わないって受け止めてくれる男性の逃避行には乗らないばかりか、

罪をなすりつけるってあまりにも辛いし、

死にたくなるような裏切りってまさにこういうことだよ。

あげく死んでしまう。

 

ルコントの作品でも、いっちばん痛切で苦しい。