乙一、荒木飛呂彦原作『 The Book jojo's bizarre adventure 4th another day 』
を読んだ。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の世界を舞台にした、作家・乙一によるノベライズ作品。
スタンド The Book をつかう少年の復讐劇。
吉良や音無が討伐されても、
あいかわらず物騒な杜王町。
街の風紀や治安はほどほどなのに、やたらと怪奇な事件が多い。
乙一は学生時代によく読んでいた作家で、約十年ぶりに読む。
あの頃と違って、狭くて暗いところで縮こまっているような身動きの取れない少年の鬱屈が、今読むと苦しい。
小説としては、異なる時系列や視点から事件が描かれていくので、面白く読むことができる。
ただ、ジョジョ作品の最大の魅力である人間の勇敢さ、困難に立ち向かう心、けっして踏みにじることのできない黄金の精神はどこにも登場しない。
うーん。
仗助御一行は、いわば杜王町自警団みたいなもので、打倒すべき敵は気まぐれに人を傷つける有害な人物ばかりだった。
今回の敵は、私怨、個人的な恨みを果たすために生きてきた哀れな少年なんだよね。
ターゲットは、大神照彦と周辺人物のみに限定されていて、それ以外の人物を快楽的に傷つけようというつもりもない。
計画のためや、不当な目に遭わされたときのみ、スタンドの力を使うだけで、それ以外は大人しく暮らしている。
そんな主人公に踏み込んで、ぶちのめすというのは、いくら母親が被害を受けたとはいえ仗助らしくない。
そして、バトルシーンでは、
仗助の恩人についての議論がなされているけれど、ファンサービスなんだろうか、いささか場違いな雰囲気がある。
うーん。
本のスタンドというのは、露伴のヘブンズドアと比べてインパクトで負けてる。
ヘブンズドアは、人を本の姿にしてパラパラとめくる姿が衝撃的だし、新聞テイストのレイアウトのうえに書き込みができるというのも面白い。
人型スタンドも可愛いし。
制約もあるし、HUNTER×HUNTERの幻影旅団の団長・クロロ=ルシルフルの念能力「盗賊の極意(スキルハンター)」を思い出した。
団長の場合は、本というより、バインダーだよね。念能力バインダー。
片手に分厚い本を持ってパラパラめくるという戦闘スタイルが似てる。
スタンドのアイデアとしては、革新的ではないかな。
あと、このストーリーは復讐譚だけれど、
親が罪人だからって、子どもまで復讐されるというのは後味が悪い。
本人の咎はあくまでも本人が清算すべきでしょう。やっと清算できたと思いきや、新たなる負の系譜は続いていくようだし…。
4部の世界を舞台としているけれど、
作風は原作準拠ではなく、乙一の作風。
トニオさんのお店は、評判がいいのにいつも空いているという設定はお決まりみたい。
