田辺聖子 『蝶花嬉遊図』

 

を読んだ。

 

33歳の脚本家のモリは、50代で妻子持ちの会社経営者のレオと二人で棲んでいる。

二人のこの上ない幸福な日々。豪奢な生活。


モリは33歳にして脚本家としての実績と人気が確立されていて、おそれいる。

そんなモリは、レオさえいれば他のことはどうでも良いと思っていて、仕事をセーブしている状態。

モノを持たないのが贅沢だというレオの美学も、最近では流行りすぎて目新しくないね。


夫婦ではないのだからけんかをしない。

愛人関係ではけんかをしてまで一緒にいる必要がないという共通認識をもつ二人。

 美味しいところだけを上手く味わう生活は、そりゃあどうやったって幸せでしょう。



田辺聖子さんの作品には、純文学寄りの作品と、純然たるエンタメ作品があるけれど、これは後者みたい。

タイトルの官能的な印象とは異なって、

読みやすいエンタメ作品。



幸福が終わってしまう瞬間、二人の関係がおしまいになってしまう刹那の表現が素晴らしい。

花にたわむれる蝶をまなじりで追いかけてゆくうちに夢幻へと消えていってしまうような感覚。




作中、

レオの本宅のことを抽象的に「芦屋」と呼んでいるのね。

そこでケーキ屋さんのアンリシャルパンティエの名前が出てくる。

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アンリシャルパンティエ芦屋本店で食べたケーキセット。
このあたりに今は妹が住んでいる。芦屋がなじみのある街になってしまった。不思議ね。




田辺聖子さんは大阪周辺、関西を描いた作品が多くて、知っている名前が出てくると嬉しいね。