『少女』 舞台挨拶付き先行上映会

 

を観た。

 

湊かなえの同名小説の映画化作品。

舞台挨拶では、三島有紀子監督、本田翼、山本美月の登場があった。

 

舞台挨拶のときには、ゲストが登場するまで主題歌が流れているんだけれど、

深く弾きこまれていくような歌声にぐっと心をつかまれた。

どうやらGLIM SPANKYの書き下ろし「闇に目を凝らせば」という曲みたい。

やっぱりストーリーと連動しているね。この曲は素晴らしい。

 

そうやって聴き入っていると、3人がご登場してね、

三島有紀子監督は金髪ショートカットですごくオシャレだった。

本田翼は天真爛漫で可愛かった。

山本美月はすごく小顔でスタイル抜群だった。顔と首と肩と腕のバランスがあまりにも美しかった。完璧な作り物のようだった。

 

主演のふたりはなんだか対照的に思えた。

天真爛漫でちょっと落ち着きがなくて一生懸命さたっぷりの本田翼。

媚びていないのになぜか感じが良い山本美月。声音が柔らかく落ち着いている。

それにしても、二人とも素晴らしく可愛い。どちらかが抜きん出ているとは思えない。

この二人の容姿や存在感のバランスが保たれていて、この映画のキャストとしては最高だと思う。どちらかの存在感が勝ちすぎていたら、一方だけの物語になってしまう。

 

 

さて、では映画本編の感想。

 

ちなみに原作は未読。

湊かなえ原作の映画『告白』も観ていない。

もともと現代の流行の小説はあまり手にとらないということもあるし、

どういう性質の作品かだけは知っていて、苦しくなりそうだから避けている。

たぶん今後も読まない。

 

映画だと陰鬱な作品に対する耐性もままあるので、今回が初挑戦。

 

まず、ストーリーのことから。

この映画では大きく分けて二つのパートがあると思う。

一つは学校、一つは夏休み。

 

学校でのシーンは本当に憂鬱で、下劣で不気味な人間しか登場しないと言い切ってもいいくらい、暗い現実の描写ばかり。

作者は性悪説の信奉者なのか、人間の邪悪さばかりが描かれているように見える。

いじめもね、ありふれたネガティブな現象だから、作品の中でまで追体験したくないのが心情。

 

そこは置いておいて、

ストーリーの主軸はユキとアツコの関係性でしょう。

ユキとアツコは2人とも脛に傷持つ同士で身を寄せ合っているのかと思いきや、

単に高校のクラスメイトってだけじゃなくて、昔からの親友。

悪意ある人間ばかりが登場するけれど、この2人は本心では、お互いを救いたいと思っている。どちらも深く傷ついているけれど。

 

それが少女小説ばりのエスっぽい見せ方をしてみせたりしてるんだよね。

女子高の制服は首までボタンがついていて、とても窮屈そうに見える。

伝統ある学校の制服とは思えないくらいフィットシルエット。

この制服にも監督のこだわりを感じた。

ごきげんようって挨拶して帰るけれど、全然ご機嫌はよろしくないじゃありませんこと。

 

この2人の美しい少女の間に、ひょっこり転校生が割って入ろうとする。

この子の存在が、2人をよっぽど特別たらしめて見せてくれる。

転校生役の役者さん、こういっちゃ失礼だけれど、すごく普通っぽいの。

顔もスタイルも普通で小柄だし、長身で美人の2人の間に入るとすごく不自然。

本田翼も山本美月も芸能人になるような特別に綺麗な子だし、やっぱり現実じゃなくて映画だなぁってあらためて感じる。当たり前なんだけれど。

 

夏休みパートで、物語が大きく動き出す。

2人の少女はボランティアとして、別々の社会に飛び込んで過ごすのだけれど、

新しい社会での出会いが彼女たちを変えていく。

 

アツコは老人ホーム、ユキは難病の子どもたちの入院する小児科。

動機は「人が死ぬところが見たい」という不健全きわまりないケッタイな理由だけれど、

別の社会に入っていくチャンスでもあった。

 

この話の流れは、学校だけがすべてじゃない、とか

別の社会を知ることで新しい人とも出会って物事の見方が変わっていく、ってことを暗に示しているのかなと思うた。

 

ラストシーンに爽やかさを素直に感じるのはとても危険だと思う。

主軸のストーリー、2人の関係性は開かれたし分かり合えたけれど、周りの人間関係はぐちゃぐちゃだしね。自分たちで壊してしまった人間もいる、因果応報だけれど。

「世界は広い」ということを分かって欲しくて、って感動のラストシーンだけれど、

優秀な伏線の回収のおかげで「世間は狭い」って感じたよ?

誰かと誰かの人生は見事に交錯している。イッツアスモールワールド?

結局、少女という病は、自分を核とした人間関係さえ守られていればあとの世界がどうでも構わない、という絶対的で閉鎖的な人間関係に起因するのかな。

狭いことを批判したい世の中の見方もあるけれど、狭いのは別に悪いことじゃない。

狭いところを深めていくのも信念と情熱が試される試練なわけです。

 

2人は分かり合えたし、2人の世界は守られた。

外側の世界で現実に起こっていることは、幼い子に父親を刺させる手伝いをしてしまい、恐怖でその場から逃げた女子高生2人だけれどね。

外から見たらそれだけの意味しか持たないのだけれど、

2人の世界では過去のトラウマと向き合ってお互いを救うきっかけになった。

刺されて血を流して苦しむタカオさんよりも、ショックで叫ぶユキを救うことのほうが問題。

タカオさんの安否は確認してないでしょう。もし死んでしまっていたら?

そういう現実の世界のことは、もはや自転車に乗って晴れやかに2人乗りするユキとアツコには無問題。

 

別の世界では、転校生の女の子は深い水に沈んでいくわけです。それも2人には無問題。

 

女の子が水にざぶんと沈む描写は『ピアノ・レッスン』とか真木よう子主演のほうの『ベロニカは死ぬことにした』を彷彿とさせる。

 

 

次はキャストについて。

キャストは本当に隅々まで素晴らしい。

主演の2人は17歳の役年齢と実年齢は離れているけれど、2人のバランスが保たれていることが重要だし、今の旬の女優さんでベストな配役。

 

なんといっても、男性陣がいいね。

真剣佑は本当に美男で少女漫画から抜け出してきたみたいな容姿で、表情もいい。

笑顔に惹き込まれるし、演技力も抜群。

小西真奈美と市川実日子主演の『Blue』における高岡蒼佑みたいな役回り。

(あの映画も女子高生2人の近づきすぎる関係性を描いた作品)

 

びっくりしたのが、稲垣吾郎の出演。

出演時間は少ないけれど、物語のキーパーソン。

邪悪さ渦巻くストーリーのなかで唯一穢れのない存在というか、実直な小市民というか、業に絡めとられていないというか、それはそれで特異な存在。

稲垣吾郎みたいな知名度抜群のスターがこの役回りで出演するということに驚いた。

 

銀粉蝶もいい。

 

 

 

 

終わり方もいい、綺麗には終わらない。

GLIM SPANKYを知れてよかった!