『ある過去の行方』(フランス。2013年) The Past
を観た。
イランに住むアフマドは、正式な離婚手続きを完了するため、パリの元妻マリのもとを訪れた。
マリは恋人と、自身の娘2人と恋人の息子と暮らしているのだが、
アフマドは、長女のリュシーとマリがぎくしゃくしていることに気づき・・・。
『別離』のアスガル・ファルハーディー監督作品。
公開初日の特典で、イランの香水をいただいたの。
珈琲の横に置いてあるのは、DVDやチラシではなくって、香水のミニボトルが入ったパンフレットなの。
YATTANE!
前作の『別離』が素晴らしくって、公開を楽しみにしていた作品。
『別離』もそうだけれど、
今作も、家庭のトラブルを題材にしていて、
深刻で繊細で、でも小さい世界、だからこそ身近で誰にでも起こりうる、人間と人間とのトラブルを描いているのよねえ。
こういう映画を撮れるのはこの監督しかいないのじゃあないのかしらん。
なんて緊張感のある!
冒頭で、あれ?
フランス語?
イランってフランス語圏だったけ?と思ったら、舞台はフランスで、
イランからアフマドが離婚手続きにやってきて、帰国するまでの期間が描かれているのよねえ。
なんというか、
こういう男出入りの激しい母親を持つ娘は、苦労が多いよねえ。
ちいさい男の子は、マリの今の恋人の連れ子だということはわかるけれど、
え?リュシーとアフマドは他人なの?どういうこと?
と、思って観ていたら、
わたしが産まれてからお母さんの夫は3人目、っておいおい。
つまり、アフマドは、
リュシーの父、今の恋人、の間のマリにとって、2番目の夫ね。
(マアもしかしたら、リュシーの父の前にもいたかもしれないけれど)
それで、リュシーはいま問題を抱えて悩んでいる様子で、
アフマドはマリとリュシーの仲介役みたいな役割を果たすのね。
この家族のトラブルは、
言ってしまえば、主人公のアフマドには関係ない問題で、
現行のトラブルの渦中にいない。部外者なの。
リュシーが言うように、
何年も一緒に暮らしていたのに、別れたら元妻、他人、ってなるのはさみしいよね。
親の再婚によって、
新しいパパ、家族として受け入れていた人間が、
親同士の関係が終わったら、ハイ、他人、となるのだから、
子ども側は振り回されてしまうよねえ。
マァそんな部外者のアフマドが、
新しい家族を作ろうとしている、元妻の再婚にまつわるトラブルに奔走するのよねえ。
マリのいまの恋人のエミールは結婚していて、
妻は植物人間なのね。
それで、植物人間になった原因が、自殺未遂というの。
その自殺の理由を、リュシーは、マリとエミールの不倫、だと推測して・・・という話。
うーむ。
別にマリが悪いんじゃあない。
そういう性質を含めて、そういう人間というだけで。
ただ、そういう母親のもとに生まれてきてしまったからには、子どもはどうしても苦労する。
それはどこの世界にもある話で。
こんな環境で、素直にすくすく育つわけがない。
でも、それも含めて自分の人生なんだよねえ。
再婚すれば、その子どももろとも新しい家族。
でも、別れてしまえば、家族ではなく他人。
子どもは、親の婚姻には不可抗力だし、家族として受け容れるしかないけれど、
そんな経験が何度も続くと、親への不信感は拭えないのかも・・・。
愛ってなんなのかしらん。
家族ってなんなのかしらん。
とても緊張感のある作品。
素晴らしい。
思い返して、わたしの世界を守り続けてくれたあの人を、ずっと愛すと決めました。
