『愛のむきだし』 (日本、2009年)
を観た。
ユウ。ヨーコ。コイケ。親に愛されなかった子どもたち。
園子温。
話題になった作品よねえ。
なんといっても約4時間もある映画なのよね。
個人的に、長い映画は詰め込み過ぎか冗長に感じるから、敬遠しがちなのよね。
長尺ってだけで、評価が下がっちゃう。
4時間もあるわりには、テンポが良くって、飽きることなく見れちゃうの。
非常識なことが簡単に受け入れられていく様が、ギャグ的なエンタメ作品よねえ。
血しぶきがすごいのなんのって。もうね、一面が血に染まっちゃうの。
特筆すべきは、安藤サクラの演技よねえ。
満島ひかりも悪くないんだけれど、満島ひかりは、藤原竜也的というか、「演技が上手い」っていうふうに観ている側に意識させちゃうような演技よね。
その点、安藤サクラは、
本当にくるった人!のドキュメンタリーみたいな感じがあるのよね。
狂気がべったりと張り付いてるのよ。
人格そのものが滲み出ているかのような、イヤな微笑みが印象的だわ。
この話の主役は、言うまでもなく、兄ユウと妹ヨーコなんだけれど、
その間に侵入者として土足で踏み込んでくるコイケこそ、話の勘所なんじゃないかねえ。
ユウとヨーコとコイケは、親から虐待されているのよね。
それでも、この三人は、何らかの形で発散していく、あるいは出口を見つけていけるタイプなのよね。
人によっては、塞ぎこんで、動けなくなるタイプだっているだろうから。
彼ら3人は、そういうところが健全で、行動派なのよ。
行動派で、活動的。
でも、通常のコミュニケーションは取れないんだよね。
だから、一目惚れに近い速度で、盲目的に愛してしまう。
通常のコミュニケーション方法が欠落しているから、歪なやり方で結びついていくしかない。
ユウとヨーコは、「サソリ」という繋がりもあるし、兄妹となるんだから、
時間をかければいくらだって、上手く向き合っていくことはできたと思うんだよね。
そこへ来て、破滅者コイケですよ。
コイケの、ユウへの異常な執心。これって絶対、好きなんだよね。
「愛」まで純化できるような感情じゃないにしても、強烈なシンパシーと同化欲求はあるよね。
だから、最初は教祖に計画を反対されたけど、押し切った。
誰からも愛されないコイケ。
通常のコミュニケーションが取れないばかりか、機会にも恵まれていない。
彼女を取り巻く「関係性」が絶望的だよね。
父親は最低で、そのせいで少年院に入ることになるし、少年院に入ってたから、友達もいない。
教祖に出会って、幹部になって取り巻きもいるけれど、カルト教団員の繋がり。
ユウとヨーコに出会う前から、引き返せないところにいるのよねえ。
自分が変わる、なんて選択肢は残ってないから、ユウを引きこんでいくっていう関わり方しかできない。
ユウは、なんだかんだ悪友たちに愛されているのが、いいよね。
ユウのために力を尽くしてくれるし、いつでも自分のことのように考えてくれる。
一連托生よね。
それは単なる依存心じゃないよね。破天荒なんだけれど、常識的に物を考えたりはできるのよね。
知的レヴェルじゃなくて、傾向がね。何が常識か、ってことはわかっている三人衆。
最後は、4時間観終わって、それなりにカタルシスもある大団円ですよ。
たぶん、愛がどうのとか、深刻に考えちゃだめなんだろうね。
だって、真剣に深刻に考えるには、テーマぶっこみすぎだし、丁寧に描いていない。
エンターテイメント、いいじゃない。
あの人の長くて綺麗な指が、わたしの輪郭をなぞる、の。ちゃんと爪切ってくれなきゃ、厭よ。
