安部公房 『人間そっくり』
を読んだ。
火星人だと言い張る男の相手をするうちに、実話と寓話が捩れて捻じれていく話。
SFという括りでよいのかしらん。
自分は火星人だと言い張る男の理屈が強烈ね。
そもそも頭がおかしいのか、正気で頭の切れる人間なのか、そのどちらであっても、非常にやっかいよねえ。
嘘、嘘、嘘。
ぜーんぶ嘘に見せかけて、罠にはめるのよねえ。
ねえ、何を信じたらいいのかしらん。
相手の口車に乗ってしまった時点で、もう負けなのかもしれないわねえ。
いかにもそれらしくて、学術的っぽいトポロジーの話が、衒学的でちんぷんかんぷんだわ。
これも罠のひとつよねえ。
真面目に読んだら、こっちが頭おかしくなっちゃうわ。
ふふふ。でも、いいかもね。 おかしくなっちゃうの、いいかもね。
ねえ、ほんとうは、分かっていて、罠にはまってくれたんでしょう?