アガサ・クリスティー、矢沢聖子訳 『スタイルズ荘の怪事件』 The Mysterious Affair at Styles
を読んだ。
アガサ・クリスティー初のミステリ作品にして、ポアロの初登場作品。
スタイルズ荘を訪れたヘイスティングスは、屋敷の女主人が毒殺される事件に巻き込まれる。
そして、ベルギーから亡命してきた親友・ポアロが、事件の捜査に乗り出すこととなる。
初登場作品ということもあってか、ポアロの奇行が目立つ。
頭がおかしいんじゃないか、という変人ぷりを発揮しながらも、独特のチャーミングさで登場人物たちの隙につけこむのよねえ。
いきなりとび跳ねたり、踊りだしたり、走りだしたり、常軌を逸している。
それでいて、かわいいおじさんね、と評されるマスコット的なキャラなんだねえ。
それに対して、物語の語り手となるヘイスティングスは、
単純で、情に流されるし、推理はてんで的外れ。でも、考え方はとても健全。
『スタイルズ』でも、神秘的な美女にわかりやすーく惹かれていくし、
ちょっとした思いつきや勢いで、プロポーズまでしてしまう。勿論、振られてしまうわけだけれど。
ポアロが徹底的に天才肌の変人であるのに対して、ヘイスティングスは徹底的に実直な凡人なのよねえ。
そのバランスが良い。
『スタイルズ荘』も、トリックはなんでもないようなカラクリだけれど、
人物の描写と関係性がポイントよねえ。
わたしの絶望的求愛は、さぞや滑稽だったろう。
すこしはあなたを、愉しませることができたかしら?


