感想です
以下強烈に猛烈にネタバレ含みます






















































SFの要素を含む超科学的とも言える「モドキ」を扱った今作だが
作品に横たわるテーマは、
「誰かに強く太く必要とされたい」
という、有り体の希求で、
過程や結論が早い段階で想像がついてしまう

しかし、時間軸のズレや
カメイさんの嘘(というか妄信)のトリックがピリリと利いて
胸がヒリヒリした



3人(いや、正確には4人)それぞれの視点から見える世界、欲望の対象が
見事に噛み合っていなくて、
その孤独が現代社会を象徴しているんでしょう

あざとすぎる気もしたけれど。

読者への配慮か、
するんと簡単に飲み込める語彙と
口語表記で、イマ風なのが、
イマ時の若者である私には少々鼻についた

そうであることによって
すごく作り物感が漂う
作者がキーボードを叩いている姿がぱっと浮かぶ。
違和感、を感じてしまうんだよな

そもそも本を読むっていう、
文字の羅列を追って
頭の中でストーリーを展開していくっていう
在り方が、構図が、生身で見て触れて感じる日常生活から乖離しているんだから
(読書は日常に組み込まれているけれども。そういう話ではなく)


話の内容それ自体が日常であろうとも、
脳に訴えかける手段としての文章にそれを持ち込むのは如何なものか、と。

こんなのただの嗜好の問題ですがね。

わたしは、気になるし、気にいらない。

おっと、話が逸れた。

「モドキ」には自分本位な人間ばかりが出てくる
もう清々しいばかりに、登場人物は自分のことしか考えていないし
自分が可愛くて仕様がない
自分の欲求を満たすのに必死で
省みることなんかない

その中で、立ち位置が曖昧なのが
カホだ。

何事にも割と無頓着なのか、他人に興味がない
それはきっとカホが冷静で、
人に欲しがられる側の人間だからだと思う
ある程度「持って」いて、
コンプレックスから来る渇望があまりないタイプなんだろう

そのカホが、「モドキ」の媒体、依代にされてしまい
危うい均衡でなんとか崩れることなく生きていた
カメイさん、マツナガ、の世界が変容する

このカメイ・マツナガ両氏は
別ベクトルで、狂人道を突っ走っている
どちらも甲乙つけがたいくらいに、狂いに狂っている

カメイさんの変質が明らかになるのは後半で、
それが物語に深い奥行きと影を落とすことになる

マツナガはのっけから
「変人」の立ち位置で登場するが
(性癖は、さもありなん、と受け流すことができるが、問題なのは執着の度合い)
物語が進むにつれて、
オーバーヒートする

彼ね、
アミ完成のために平気で何人も人殺してますからね

滑稽で滑稽で
あまりの自分勝手に衝撃を受ける

と、同時に
「お前どんだけ賢くて狡猾なんだよ。学生の分際で大学側出し抜いてプロジェクトの研究ごっそり横取りして、尚且つ数々の犯罪を明るみにさせないだけの天才が、スーパーで呑気にバイトしてんなよ。お前は夜神月か!とっととノーベル賞でも取っちまえ」

と、冷静に突っ込んでしまった。
いやいや、フィクションだって分かってるよ
でもまあ、そこに矛盾を感じてしまったのは事実だ


けれど、マツナガが通常ではありえないほどの天才だとしたら
倫理観の欠如も頷ける…か?
花火好きの一般的な感覚の持ち主だけど?

まあまあまあ、矛盾はさておき。


最後のオチ、
きっとハッピーエンドなんだろうな

でも、あまりにも定石通りで、物足りない

もっともっと、がっつり魂まで食い込むほどの渇望が欲しかった。