ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』人物事典90(79~83)

 

~プローホル など~

 

・プローホル…グルーシェニカの家の門番頭ナザールの甥。ドミートリーがやって来て、グルーシェニカの行方を聞いたとき、「二時間ぐらい前に、チモフェイの馬車でモークロエに出かけました」「どこかの将校さまのところかと」と言った。ドミートリーは、猛り狂ってフェーニャ(グルーシェニカの女中)のところへ駆け出した。【⇒第8編:ミーチャ4 闇の中で】

 

・プロトニコフ…モークロエでドミートリーが豪遊するときに、シャンパンやお菓子などを大量に購入する店を経営する人。【⇒第8編:ミーチャ5 突然の決意】

 

・プロホル・イワーノヴィチ…陪審員のひとり。たいへんな知恵者。子どもが十二人いる。「彼のほうが、ペテルブルグぜんぶに講義できるぐらいですからね」、などと言われている。

 

・プロホロヴナ…「場違いな会合」を中座したゾシマ長老の祝福を受けた二人目の女性。都会的な身なりをしたよぼよぼの老婆。下士官の未亡人。息子がイルクーツクへ行ったきり、一年たっても手紙が来ないので、安否を心配している。ステパニーダ・ペドリャーギナに、息子の名前を過去帳に書いて、教会で供養してもらうと帰って来るという話を聞いたので、本当かどうかを長老に聞くと、「そんなこと考えてはいけません。訊ねるのも恥ずかしいことです。」と言われた。息子は生きているからだいじょうぶだと、長老は請け合った。【⇒第2編:場違いな会合3 信仰心のあつい農婦たち】 家にもどるとすぐ、シベリアの息子からの手紙を手渡された。あと三週間ほどで、「母さんを抱きしめられると思います」と書かれていた。この奇跡の実現は、ゾシマ長老の最後の説教を聞いていた人たちを熱狂させ、オブドールスクの修道僧を混乱させた。【⇒第4編:錯乱1 フェラポンド神父】

 

・ベリャエフスキー…美男の金持ち。フョードルの妻ソフィアの尻を追い回して、足しげくフョードルの家に通っていた。ある日、ベリャエフスキーがフョードルにびんたを食らわせた。それを見たソフィアが激昂して、「あなた、あなたはいまぶたれたのよ!」「いますぐ追いかけてって、決闘を申し込んでちょうだい!」とフョードルに言ったそうだ(イリューシャとスネリギョフのエピソードを想起させる)。【⇒第3編:女好きな男ども8 コニャックを飲みながら】