ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』人物事典55(46人目)

 

~スムーロフ~

 

 

・スムーロフ…左利きの少年。鋭い洞察力のあるイエスマン。黒ジャンパー、ブロンドのちぢれ髪。石を投げた少年の方へ行こうとするアリョーシャに、「行かない方がいいです。あいつ、あなたになにをしでかすかわかりませんから」と警告した。将来的にコーリャの腹心となるが、たもとを分かちそうな雰囲気。【⇒第4編:錯乱3 小学生たちと知り合った】

 金持ちの役人の息子。札付きのわんぱく坊主であるコーリャとつきあうのを禁じられている。直接呼びに来られないので、コーリャは呼子笛を吹いて合図をした。コーリャのペレズヴォンが、イリューシャのジューチカと瓜二つだと気づいていた。イリューシャの家に毎日通うようになったきっかけはアリョーシャだが、今では自発的に通っていると。【⇒第10編:少年たち3:生徒たち】

 コーリャのところに、アリョーシャの使いとして二度行ったが、コーリャはいらいらした口調で拒否した。スムーロフが、ジューチカをコーリャが連れて来ると考えたのは、コーリャがあまりにもムキになって否定したからだった。実際に、ペレズヴォンがジューチカだとコーリャが明かしたときには、「でも、そこまでは気づかなかったな!」「さすがクラソートキンさ」と言った。また、古典語陰謀説に対しても、「その通りだ」と確信を満ちた表情でうなずいた。【⇒第10編:少年たち5:イリューシャのベッドで】

  「どうもあなたは、このぼくをスムーロフのような子どもと、勘違いなさっておられるようだ」と、コーリャはアリョーシャに言っていた。【⇒第10編:少年たち6:早熟】

 イリューシャの葬儀にやって来たアリョーシャが、ドミートリーは冤罪だと話すと、「ほら、言った通りでしょう?」と声を張り上げた。教会からの帰り道、二等大尉の帽子を手に持ち、はげしく泣きじゃくった。二等大尉の家を後にしたあと、アリョーシャと子どもたちが歩いていると、「あっ、イリューシャの石だ、あの石の下に葬ってって、言ってたんですよ!」と叫んだ。そのあと、彼の名前が出て来ることはなかった。【エピローグ:3イリューシャの葬儀。石のそばの挨拶】