ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』人物事典51(37~40人目)

 

~ゴルストキン など~

 

・ゴルストキン…別名「リャガーヴィ(猟犬)」。赤毛で、不潔で、薄いひげをしている。青い袖なし外套なんぞを着込んでいる。とんでもない悪党。平気で嘘をつくが、「あごひげが震えて、本人がかっかしてしゃべる」なら、本当のことを言っているとき。左手でひげを撫でて、にやにやしていたら、嘘をついているとき。目を見ても何ひとつわからん。一昨年、家内が死んだと嘘をついた。「今だってぴんぴんして三日に一度はやつをぶん殴っておる byヒョードル」。「リャガーヴィ(猟犬)」と呼ぶと腹を立てる。マースロフに八千ルーブルまで値切られているチェルマシニャーにあるフョードルの森林に、一万一千ルーブル出すと言う。ゴルストキンが嘘をついていないか、フョードルは、イワンにチェルマシニャーに行って、見極めてほしいと言った。【⇒第5編:プロとコントラ7 賢い人とはちょっと話すだけでも面白い】 一日中酒を飲み、ドミートリーが訪ねたときには、泥酔状態で眠りこけていた。無理やり起こそうとすると、「ばかげた調子でむにゃむにゃいい、あいまいな言葉ながら、すさまじい悪態をつきはじめた」。夜中に、暖房のたきすぎで酸欠状態になっているのにも気づかず眠り続け、ドミートリーに看病されている。朝っぱらからまた飲み始め、午前九時の時点で泥酔していた。ドミートリーが自己紹介すると、「嘘つけ!」と叫んだり、「おまえペンキ屋だな!」と言ったりして、さんざんからかった。「あごひげをずっと撫でていた」。そして、ふいに意地悪そうに目を細めて、にたにた笑った。【⇒第8編:ミーチャ2 猟犬】

 

・コルバスニコフ…コーリャの学校の古典語の先生。古典は、すでに各国語に翻訳されているので、古典語(ラテン語)の学習は不要だと言っていた。最近機嫌が悪い。結婚して持参金を千ルーブルせしめたが、花嫁はきわめつきの醜女だった。「ガチョウ事件」のうわさを聞きつけ、さっそくコーリャを処罰しようとしたが、ダルダネロフがかばったので、罰することはできなかった。【⇒第10編:少年たち5:イリューシャのベッドで】

 

・コロフキン…イワンが、中学生のころに「千兆キロ歩いた男」の小話を披露した相手。【⇒第11編:イワン9:悪魔、イワンの悪夢】

 

・コンスタンチン⇒コースチャ

 

・コンドラーチエワ…裕福な商人の未亡人。身ごもったリザヴェータを自宅に引き取り、お産がすむまで表に出さないように指示したが、リザヴェータはこっそり屋敷を抜け出して、フョードルの家へ行き、風呂場で出産した。【⇒第3編:女好きな男ども2 リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ】