TODAY'S
 
2021年度 帝塚山学院泉ヶ丘中(前期A)

 

大問一:重松清『きみの友だち』

 

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 重松清の作品の中で、これが一番好きでした。『小学五年生』と並ぶ、重松清の古典です。この人の衝撃は、教育の世界に、きれいごとではない現実の不条理を持ち込んだことでした。主人公の「きみ」が、チャプターごとに入れ替わっていくあの趣向に、二十代前半のわたしは、大いにしびれたのでした。

 出題部分は、ブンちゃんが標語で焼きゴテを押されるおなじみの場面。なぜどの学校も、ここを出題するのでしょう。何かを参照しているのか、自然とここに引き寄せられるのか。教材に入っている塾も多いと思いますし、多くの受験生は、この本を読んでいると思います。だから、中堅校で多く出題されます。ここ数年で言えば、龍谷大平安・近大付属・上宮中などで、出題されています。

 

  

 

問一えーんわからん

問二 副詞 選べる

問三 心情まで書かせることを意図しているが、果たして、必要なのかどうか……。「威厳を取り戻す≒自信を取り戻す」理由は、「安心したから」なの? ブンちゃんが後押ししてくれたからでは? この判断のあいまいさは、「威厳を取り戻す≒自信を取り戻す≒不安がなくなる≒安心する」が、地続きになっていることに由来する。

問四 探せる

問五 選べる

問六 選べる

問七 後半が、字数稼ぎという気がしないでもない。

問八 選べる

問九 選べる

 

  

 

大問二:多胡輝「12歳からのマナー集」

 

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 キレイゴトも行き過ぎれば毒です。そう言ってしまっても、この筆者の不名誉にはならないと思います。この本は、筆者が80歳のときに書いたものです。「12歳からの」という題名ですが、筆者は、日常的に12歳の子どもたちとふれあっていたわけもなく、現代の少年たちの抱えるネットの闇について熟知していたはずもありません。筆者は、自分の少年時代を回顧しながら、少年たちにやさしく語りかけているのです。

 悪口を言われたらどうするのか。言い返さないで我慢する。相手はひとりぼっちの寂しがりにすぎないと、優越感を抱きながら我慢する。我慢することで、悪口を言わなかった爽快感を味わう。親しくなった友人にも、気を許してはならない。

 被害者は、自己の精神力によって、肯定的に自己解決します。これを被害者に対して、徹底することができたなら、どの学校からも「いじめはなかった」ということになるでしょう。

 頬っぺたを差し出し続ければ、エスカレートしていくことを知らないのだろうか。筆者は、悪口を言った人が、「少し時間がたつと、自分がとてもいやな人間のように思えてきます」と言うのですが、その嫌な気持ちが、かえって、あいつのせいで自分は嫌な気持ちになったのだと、いじめをエスカレートさせることを、知らないのでしょうか。

 頬っぺたを差し出し続ける人は、神を信じているか、自信があるか、愛があるか、抑圧されているかです。この無機質な性善説の世界は、絶対的な神の存在する世界か、絶対的な独裁者の支配する世界か、そう思ったとき、彼が少年時代を過ごした戦前の世界は、まさしく後者であったと、気づいたのでした。

 インターネットで悪口を書かれたら、「その人のいいところをほめてやりましょう。ほめて、おだてて、悪口を言わせないようにしてしまうのです。ほめられて気を悪くする人はいません。これならケンカになりませんよね」。何を寝ぼけたことを言ってるんだろう、ネットの悪口は匿名なんですが……などと言っても、意味がありません。そんなことをしたら、「煽り」以外の何物でもないですよ。

 彼は、遠い少年時代を懐かしんでいます。そうやって、精神論で青春を生きていくしかなかった時代だったのです。そう思うと、次の文も、別の意味合いにみえてきます。

 

――でも、せっかく仲よくなれたとしても、ずっと友だちのままいられるかどうかはわかりません。一所懸命メールを書いても返事が来なくなることもあります。

 

 彼のマナー論は、敵と味方の境界がくっきりしています。心から赦したり、分かりあったりはしません。自分たちは多数派であり、相手はひとりぼっちの悪人です。

 彼の理論によれば、「ひとりぼっちの寂しがり屋さんが間違っている」のは、まず「人を楽しませる」ことをしないことです。楽しませれば、彼は仲間に入れてもらえるのです。そして、人の悪口さえ言わなければ、「楽しい会話は自然と広がっていきます」。逆に言えば、現にひとりぼっちの寂しがり屋さんがいるなら、それは、悪口を言うからなのです。

 

 傷ついている人が正当に声を上げることができないか、自分は正義だと思い込んだ人がいったん自分を顧みる方法はないか、孤立した人を差別することのない寛容さは身につかないか。

 彼のマナー論は、こんな理想しか描けなかった戦争の時代に、少年時代を過ごすことの厳しさを教えてくれます。今はどんな理想でも描けますが、描けるうちに実現しとかないと、こんな言葉しかしゃべれなくなるぞと、彼のマナー論からは学ぶことができます。

 ただ、この文章を受験生に向けて出題した国語の先生に対しては、これを先生が生徒に向けて読ませるのは、どうだろうか???と、言いたいです。上から下へという形で与えるものではありません。こういう世界を夢見るほど、フラストレーションがたまっているのかしら? 

 対話できるでしょ、あんたのとこの生徒なら、それなりにしっかりと。

 

  

 

問一 よくわからないが、常識的なものを選ぶ感じ。

問二 ネットで悪口を書かれたときの正解は、「相手のいいことをほめることで悪口を言わせないようにする」ことらしい。できるもんならやってみろと言いたい。

問三 まあ書けます。

問四 書ける

問五 埋められますが……正しくはないですよ、少しも。筆者はそう言ってるからと言って、ここまでズレたものを正しく選ばせるのは、センスを疑います。12歳を子ども扱いしすぎです。12歳になれば、自分ではほとんど大人の「つもり」でいます。大人と違うのは、傷ついた経験が少ない分だけ、心が狭いところがあり、失敗した経験が少ない分だけ、視野が狭いところがあるというくらいです。

問六 こういうのも、一度実践してみたらいいと思います。

問七 選べる

問八 埋めたとて……。

問九 筆者は、そう言うとりますが…

問十 まあ

 

  

 

大問三

 

漢字の書き取り

※「未だ」の書き取りを出題して、全員正解になってます。

 

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大問四

 

四字熟語

 

  

 

大問五

 

「同じ働き」という指示があいまい。

 

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