2021年9月のご報告

 

※2022年5月以降 jyukenkokugo@yahoo.co.jp に変わりました。

ということで、灘中教材の購入は可能ですが、最新版ではないよというお話でした。

この語句教材、サグラダファミリアみたいになかなか完成しないので、受験の方が先に終わってしまいそうだという場合は、現段階でのものをご検討いただければ、幸いです。

 

では!

 

・・・・・2021年 灘中1日目の解説(簡易版)・・・・・

 

一 出典は長谷川眞理(まり)子『モノ申す人類学』による。ネットでは、感情まかせの単純な二分法が行われるが、学問はそのような傾向(けいこう)に歯止めをかけ、安易な二分法では意思決定はできないことを示すものだと述べている。

問一 「(かさ)を持って出かけますか?」という問いに対する「行動の選択肢(せんたくし)」は、持って出かけるか、持って出かけないかである。

問二 人間には「簡単に二者択一で判断したいという欲求」があるため、「情報がたくさんある」という二者択一の判断をしにくい状況に(おちい)るのは、不快なのである。

問三 1 ストーリーは、物語・筋書きの意味で、「小説のストーリーにひきこまれる」のように用いられる。 2 エントリーは、入場・参加申し込みの意味で、「大会にエントリーする」のように用いる。 3 リカバリーは、回復の意味で、「システムのリカバリーをする」のように、パソコン関連で用いられることが多い。 4 セオリーは、理論の意味で、「物事はセオリー通りにはいかない」のように用いる。 5 ミステリーは、推理小説・神秘の意味で、「自然はミステリーの宝庫だ」のように用いる。

問四 1 「腹を割る」は、本心をかくさずに話すことで、「腹を割って話し合おう」などのように用いる。「腹を打ち明ける」「腹の内を見せる」「腹蔵ない」なども、同様の意味になる。 2 「腹を切る」は、責任を取って辞任することで、「()め腹を切る」は、責任を取って辞任させられることである。 3 「背に腹はかえられない」は、悪いことではあるが、今を乗り切るためには仕方がないという意味である。「かえられない」は一般的に「ひらがな」で書く。語()は「ぬ」でもかまわない。 4 「腹を探る」は、相手の考えをそれとなく聞き出そうとすることである。一方、「痛くもない腹を探られる」は、あらぬ疑いをかけられることである。 5 「腹におさめる」は、自分の思いや見聞きしたことを、自分の心の中にしまっておくことである。「おさめる」は、「納める」と書くことも、「収める」と書くこともあるので、ひらがなで書くのが無難である。

問五 「横車を押す」という言葉があるように、「横」には、道理に合わないことを無理に()し通そうとする意味がある。アの「横行」は、悪事や不正がしきりに行われていること、エの「横暴」は、権力に任せて、道理に合わないことを行うこと、オの「横領」は、他人のものを不正に私物化することである。一方、イ・ウ・カは、「縦」の反対を意味する「横」である。

 

二 俳句の読解

1 空所には3音の言葉が入る。「来る」という言葉から、春に「来る」渡り鳥の「(つばめ)」がふさわしいとわかる。直線的な道路が集まる街に、まっすぐ飛んでくる燕の姿が描かれている。 2 空所には4音の言葉が入る。「()いてから泳ぐ」という言葉から、「(かめ)の子」がふさわしいとわかる。ちなみに、亀の子たわしも水に浮かぶ。 3 空所には3音の言葉が入る。「けむり」のようにふわふわしているのは、「水母(くらげ)」である。 4 空所には2音の言葉が入る。「秋」の季語であることと、さびしげな鳴き声から、「鹿(しか)」がふさわしいとわかる。 5 空所には2音の言葉が入る。「天高く馬肥ゆる」は、秋の時候のあいさつである。 6 空所には4音の言葉が入る。「夜」であることから、羽を広げて「むささび」が飛んでいるのだとわかる。 7 空所には4音の言葉が入る。エビはエラ呼吸できるので、おがくずを入れた木箱で、生きたまま輸送することが可能である。

 

三 語句の知識

1 「身の毛もよだつ」は、ぞっとすること。 2 「血気にはやる」は、一時の感情にまかせて、過激な行動に走ろうとすること。 3 「支障をきたす」は、不都合が生じること。 4 「弱気を助け強きをくじく」は、弱い者を救い、強い者に立ち向かうこと。 5 「脳裏をよぎる」は、頭の片(すみ)でちらりと考えること。

 

四 ふりがな

1 アは「じ」で、それ以外は「ぢ」である。「地」には、「チ」と「ジ」という二種類の音読みがあるので、「チ」が濁って「ヂ」となるケースとは異なっている。 2 イは「ず」で、それ以外は「づ」である。「()む」「(つく)る」「(つき)」「(つづ)き」と直してみるとわかりやすい。 3 イは「う」で、それ以外は「お」である。

 

五 熟語の組み立て

 「消火」は「火を消す」、「発熱」は「熱を発する」というように、下から上に読む(下の字が上の字を修飾する)熟語である。同じ組み立ての熟語は、カ「金を集める」、キ「顔を洗う」、コ「書を読む」である。ア・ウ・ケは似た意味の字を並べた熟語。イ・エ・クは上から下に読む(上の字が下の字を修飾する)熟語。オは反対の意味の字を並べた熟語。

 

六 誤字訂正

1 「所信表明」は、自分の信念を公にすることである。「初心」は、「初心忘るべからず」のように、物事をはじめたばかりころの心のことである。 2 「不測の事態」は、思いがけず、良くないことが起きることである。 3 「異常」は、正常ではないことである。一方、「異状」は、主に「異状なし」という形で用いられ、警備などの限定された場面でのみ用いられる。

 

七 語句の知識の問題 

1 「歯の浮くよう」は、わざとらしいことを表す言葉で、「歯の浮くようなお世辞を言う」のように用いる。 2 「芋を洗うよう」は、人がごったがえしていることを表す言葉で、「海水浴場は、芋を洗うような大混雑だった」のように用いる。 3 「水を打ったよう」は、しんと静まり返ることを表す言葉で、「先生の言葉に、教室は水を打ったように静まり返った」のように用いる。 4 「綿のよう」は、くたくたになることを表した言葉で、「綿のように疲れ果てて、泥のように眠った」のように用いる。 

5 「降ってわいたよう」は、突然であることを表す、「降ってわいたような事件に、のどかな田舎は騒然となった」のように用いる。 6 「猫の目のよう」は、めまぐるしく変化することで、「表情が猫の目のようにくるくると変わる」のように用いる。 7 「手に取るように」は、はっきりとわかることで、「相手の考えが手に取るようにわかる」のように用いる。 8 「馬車馬のように」は、がむしゃらに働く様子で、「家族のために馬車馬のように働いた」のように用いる。 

 

八 熟語のパズル

 まずは、〔条件4〕の読みをA~Gにあてはめつつ、四画の字を探していく。Aは「地区」、Cは「化学」、Dは「年収」、Eは「支店」、Fは「店内」、Gは「心配」、Hは「給水」、I は「牛歩」というようにして、うめられる。そのうえで、Bには「区分―分化」があてはまることがわかる。