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2021年度 金蘭千里(後期)
大問一:三浦しをん『愛なき世界』
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始まったとたんに魅力的だ。愛すべき人物が登場したとうれしくなる。言葉運びもユーモラスだが、そのユーモアを理解するには、もう少し年齢が高くないと厳しそうだ。
問一 書き取り。普通。
問二 問題が強引。
※「黄色い葉をつけたイチョウの梢」に気づけかなったのではなく、「季節の移ろい」に気づけなかったのでは?
問三 選べる。油断するとひっかかりそうだ。
問四 語句
問五 文学史。夏目漱石。
問六 語句
問七 六十字の記述だが、ほぼ直前の文の丸写しだ。そこに何を加えて強引に60字にするのかは明確ではない。
問八 表現法
問九 文法。なんだこりゃ、語句文法ばかりで、スカスカの問題だ。
問十 心情まで入っている選択肢と、入っていない選択肢がある。そろえる方がよい。
問十一 五十字の記述だが、これもほぼ丸写しだ。
大問二:今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』
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この人の文章はしっかりしているので、信頼できます。ただ、設問が、「右手上げて、左手上げて、右手下げないで、左手下げない」ゲームみたいな感じになっているので、ちょっとめんどくさいです。問題作成者は、論説文の筆者のことを「作者」と書いているので、素人だとわかります。国語の先生は、物語の著者以外を作者とは書かないのです。
問一 書き取り。
※体得が少し難しめ。
問二 接続詞。しっかりしている。
問三 ぬき出しだが、きわめて簡単な問題になっている。次の問題の線部に答えがある。本文ではなく、設問を並べてみても、すぐあとに答えがあるという無防備さ。古き良き日本の田舎のようだ。
問四 不正解選択肢だが、「それぞれの人間性によってころころ変わる」というのは、個人個人の解釈によりけりと言いたいのではないかと思った。人間性とはたいそうだ。
問五 ちょっとめんどくさいががんばる。
問六 百字の記述だが、ほぼ丸写し。写経大会だと思って、せめて心はこめたい。
問七 すんごいめんどくさい。すんごいめんどくさい。すんごいめんどくさい。
問八 一転して、ぬき出しは平易。
問九 四字熟語。
問十 全体正誤だが、問七でもう満足したとでも言わんばかりに、淡泊だ。
この回の入試はリスニングがあります。前半は「お使い」。後半はコロナの話。「楽器を演奏する瞬間だけは、全員、マスクを外してもかまわない」という選択肢の「瞬間」の使い方に、小学生時代にもどったようななつかしさを覚えました。
リスニングをしたけりゃ、やってみたらいいのです。問題はすばらしい「もの」でなくても、若者が率先してみずから試行錯誤しつつ、問題を作るのは、すばらしい「こと」です。教育大系の教育実験と似たようなところがあります。ただ、こんな独特の入試は、その学校を第一志望とする子が集まる回にしてもらえたらありがたいです。金蘭千里のために、わざわざ対策しないといけないようにする、いわば踏み絵のようなものかと思っておきましょう。作成者側の主役が「若手たち」だとしても、受験生と若手たちを比べたときに、受験生が主役であってほしいです。