プラトン『パルメニデス』第2部を読む㉖

 

 

 

Ⅶ 前提 一について〈ある〉が否定されるならば、

  結論 一以外のものは~でもあるし、~でもある。

※Ⅶから結論部分が一以外のものになり、肯定になりました

 

 「一以外のもの」について、「以外のもの」でさえ「あらぬ」としたら、「一以外のもの」について論ずることができなくなる。「一以外のもの」があり、それについて論じることができるなら、「~以外のもの」とは、「他の異なるもの」と「異なるもの」であることを意味する。したがって、「一以外のもの」以外のものがあるということである。つまり、「一」があるということである。

 もし「一」なき「多」というものがあるとすれば、それは「一つ一つ」が、相互的に「他」であることによって、「多の集まり」となっているものである。このとき、相互的に「他」であるという制約があるので、「限界」があると言える。このような「多の集まり」は、「一」がないため、「最小部分」でさえ「多」であることになり、無限に「多」である。そして、「一」ではないので、全体は「仮象としての集塊」であるということになる。したがって、「一なき多」は、極小にも極大にも「見える」ものであり、大⇄小の見かけ上の移行が行われるので、「中間(見かけ上の等しさ)」も存在する

 「限界」とは、「始・中・終」が存在することである。しかし、「一なき多」である(「一」ではありえない)以上、自分自身に対しては「限界」をもつことができない。極小に見えるものも、拡大すれば無限に多となり、無限遡行する。このように、人が思考のうえだけでとらえる存在は、「一」のない「統一性を欠いた集塊」なのである。遠くから見ると一に見える(=類似)し、近くから見ると多に見える(=不類似)である。一方、自分以外に対しては、相互に他であることによる限界をもつ