プラトン『パルメニデス』第2部を読む⑲
Ⅱ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、
結論 一は~でもあるし、~でもある。
※Ⅱから結論部分が否定から肯定になりました
⑧の否定 「一」は、「一以外のもの」に対して、「同年齢」であったり、「年長」であったり、「年少」であったりすることが示された。「である」についてではなく、「~になる」については、どうだろうか?
AとBを比べたとき、Aが年長だったとする。このとき、Aだけがさらに年長に「なる」ことは不可能である(年齢差は常に等しい)。したがって、すでに「ある」もの同士の関係において、年長・年少に「なる」ことは不可能である。
「一」が、「一以外のもの」よりも年長「である」であるとき、両者に等量の時間を加えると、両者の比が変化する。そして、年齢の「割合」において、年長だった「一」の割合の方が小さくなる。つまり、「一」は「一以外のもの」より年若に「なる」のである。「一」が「年少」である場合、これとは逆に、「一」は「一以外のもの」より年長に「なる」。ここでの「なる」というのは、「である」ことではなく、「なりゆく過程にある」ことである。
ここまでの内容をまとめると、「一」は「自分自身」に対しても、「自分以外」に対しても、年長でもあれば、年下でもあり、そうなってゆくものでもある。また、年長でもなければ、年少でもなく、そうなってゆくものでもない。また、「一」は時間を分有しており、「あった」「ある」「あるだろう」を、さらには、「なりゆくこともあった」「いまなりつつある」「なることもあるだろう」も分有していると言える。