プラトン『パルメニデス』第2部を読む⑦

 

 

 

Ⅰ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもなければ、~でもない。

 

⑧´ 「一」は時間を分有しないので、「一」は「あった・なった・なりつつあった」という過去を分有しない。また、「あるだろう・なるだろう・なるようにされるだろう」という未来を分有しない。さらに、「ある・なっている」という現在を分有しない。これ以外の仕方で、「ある」「有」を分有できないので、「一」は「ある」を分有しないことになる。

⑨「一」は、「ある」を分有しないので、「一」は「『あらぬ(=ない)』もの(=非有)」ということになる。また、「一がある(存在)」だけでなく、「一である(状態)」ことも不可能である。「一である」ということは、すでに「一」が「ある」ことを分有しているからである。

 また、「非有(あらぬもの)」にとって、何かが「ある」ことは可能か? あるとすれば、名前もなく、説明することができず、知識もなく、感覚することもできないものということになる。そのようなものは、「ある」とは言えない。

 

 ここまでで、Ⅰの「一があるとすれば」、「一は~でもなければ、~でもない」の話が終わりました。ここからは、これまで出された結論を、すべてひっくり返していきます。